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チビッ子入場論争

 

チケットを持たない子供はクラシコを観戦できない。

ここ数日、“バルサ社会”で議論を起こしているテーマがあります。事の発端は15日(火)。FCバルセロナのスポークスマンであるトニ・フレイシャが会見の中で、“10月26日のバルサ対マドリーにおいて、入場チケットを持たず、年間指定席保持者でもない7歳以下の子供の入場を禁止する”との決定を発表したことでした。これは今回のクラシコが18時開催とチビッ子でも観戦できる時間帯になったことで、スタジアムの収容人数を観客数が大幅に上回り、重大な事故につながる危険があると判断しての決断。昨季、12時開催のヘタフェ戦には1万人近い子供たちが訪れていて、クラシコはさらに増えるとクラブは考えました。

 

フレイシャ「後悔しないための予防策」

15日の会見でのフレイシャさん曰く、「すべての観客の安全が危うい状態となる事が想定されるため、この処置をとることに決めました。予防策を採っていなかったことを後悔したくはないのです。収容人数オーバーによる不慮の事故を避けるため、私たちは予防策を導入します。私もまた子供時代はチケットなしで入場していましたし、私の子供たちもそうでした。けれども私たちは現実と法に目を瞑ることはできない。これが不評な処置であることは、私たちも承知しています」

これがクラシコだけの特例なのか。スポークスマン氏は言いました。「観客動員数に危険のない他の試合については、子供たちを連れて観戦に来たいと望むソシオが、彼ら用の入場券を割り当てられるかどうか検討していく予定です」。窓口にてソシオカードを見せることで無料の子供用チケットがもらえるシステムを作るなど、みなが“合法的かつ安全”に観戦できる方策を考え出すということです。

この不人気な決定はもちろん、公表されるとともに物議をかもし出します。トニ・フレイシャはそして、その翌日はTV3の番組に登場。「クラブは解決策を探すべく話し合っているところですが、何よりもまず前提としてあるのは、人々の生命や安全を守ることへの私たちの責任なのです」と、これが「観客を守るための手段」であることを強調しています。

発表がこのタイミングになった理由は、「正確な日時が判明するまでは理事会にもかけられず、それゆえにアサンブレア(ソシオ総会)後になった。もし先に決まっていたなら総会で説明していました」と釈明。そのうえで「不人気な決断を下すのは理事会の職務」、「これまで何も起こらなかったというのは論旨として非常に弱い」と述べています。

 

ロセイ「私も反対だけれど、安全上致し方なし」

実際のスポーツスタジアムに関する規約として、運営者は入場者数を守るべし、てな決まりは当然あります。それがチビッ子はまあ良いでしょ、と数十年間認められてきていたところを、黙認するレベルを超えたときっちり適応することにしたのが今回の出来事です。

16日、カタルーニャ・ラジオの番組にてマイクに向かったサンドロ・ロセイ会長は、「私の下した決断に、真っ先に反対しているのはこの私です。しかし安全上の観点からは、これは私たちの義務だ。子供たちがこの処置を理解できないのは認めますし、もし私が7歳だったとしてもバルサ会長に賛成しないでしょう。私も子供の頃は父と一緒にカンプノウに行っていましたから」とコメントした上で、こう説明しています。

ヨーロッパのビッグクラブで、チケットなしに入場できるスタジアムはありません。理由は収容者数に関する法があるからです。どのようなショーを観るにも、チケットは必要だ。マドリーでもビルバオでも、イングランドでもドイツでも」

(※注:スペインでは幼児料金の有無、無料対象年齢は様々。大人が抱いて観戦できればOKの場合も多い様子。ベルナベウは基本的にチケットのない子供は入場できない)

そして会長曰く、「私たちはあらゆる案を出し、何度も話し合いました。けれども最終的に私は、“ロセイが子供を殺した”という見出しよりも、“子供たちを入場させないロセイ”の見出しの方が良いと考えたのです」、「警備の専門家によると、18時開催のクラシコには4万人の子供が来る可能性があるとのことでした。14万人の観客数はもはや法の問題ではなく、安全の問題になる。もし何がアクシデントが起これば、多くの人が死傷しかねない。そんなリスクは冒せません」

 

解決策を探し中

18時開催のクラシコがこんな論争を巻き起こすことになろうとは、正直想像もつきませんでした。日本人的感覚でいけば、ロセイさんの言い分はもっともだと思います。が、“7歳以下は無料”が伝統になっている社会では、子供たちが嘆き悲しむじゃないか・・・!となるのでしょう。この重要な決定が、2人の副会長(カルドネル、ファウス)不在で為されたことも問題視されています。

ロセイ会長はまた前述のラジオで、「クラブは解決策を求めていく」と語っていて、それによってフレイシャ爆弾による騒動は幾分緩和されたようなのですが、現実にどんな解決方法があるのかというと非常に難しい。クラブはさっそく委員会を作り話し合いを行っているのですが、安全を確保しつつも子供たちの夢を(無料で)かなえる具体的な解決策は、今のところ見つかってはいません。指定席を持っているソシオが、好意で子供たちに席を譲るくらいですか。

他のカードなら席は余っているし、子供たちのニコニコ笑顔はスタジアムを幸せにしてくれるんですがねぇ。。。根回し不足だったのも問題か。16時キックオフかも、とウワサされていた時点で、この件を仄めかしていたら事情は違っていたかもしれません。次々と議論が発生するカンプノウ周辺に、タタ・マルティーノは再び「やれやれ」と言ってるかも。バルサは明日より、3週間で7試合をプレーするタフな戦いを開始します。

 

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