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ネイマールとブラボで勝った :ラーヨ戦

攻守にバランス悪く、試合内容ではラーヨに軍配。。

代表ウイークによるパロン(中断)が終わり、再開されたクラブコンペティション。不安定なプレーを続けているFCバルセロナのパフォーマンスはこのカンプノウでのラーヨ・バジェカーノ戦でも大きく改善されることはなく、たくさんゴールを決めて勝てたことが何よりの収穫、という試合となりました。スコアだけを見た場合はバルサの快勝なのですが、自分たちの目指すフットボルを実行できたのはパコ・ヘメス監督率いる勇敢なるラーヨ。バルセロナは多くの時間でコントロールを欠き、ともすれば転んでいたかもしれないチームに勝点3をもたらしたのは、ネイマールの個人突破とクラウディオ・ブラボのパラドンでした。

今日もバルサらしからぬバルサ

バルサ戦の数日前、「バルセロナのようなチームとの試合では結果はあまり気にしない。私が見たいのは別のこと、勇敢に真っ向勝負するチームだ。私たちは小さなチームだが、結果は自分たちの姿勢次第だろう。カンプノウで勝つのは非常に難しいが、不可能ではない」と語っていたラーヨのパコ・ヘメス監督。彼に率いられ、スペインでも屈指の攻撃的パスフットボルを志向するマドリー第3のチームは、いつものように勇敢でした。カンプノウではスタイルを変えても勝点1を取ろうとするチームが多いなか、その潔さは特筆に値します。

果敢に(向こう見ずに)ラインを高く設定してくるラーヨ・バジェカーノに対し、バルサは最初の10分で2回の決定機を作り出します(6分のラキティッチ、10分のスアレス)。しかしこのチャンスはいずれも門番トーニョの右足パラドン連発もあって仕留められず、15分にショートコーナーでの不用意な守備によって失点(危険なべべを放置した)。打ち合いも予想された試合とはいえ、簡単にリードを許してしまいました。

今のバルサに対しては、とにかく攻めていれば褒美が得られるという印象があります。今季のルーチョチームはボールを持っていても効果的なポゼッションが出来ませんし(攻撃はほぼ左から)、ボールを失えばもっとどうすべきか迷っている節がある。前線でボールを収められないので絶えず速攻を食らい、ドタバタ守備に追われることの繰り返しです。どうにかバルサが勝てたのは、ネイマールスアレスというクラックがいたかどうかの違い。打ち合いを見るのは楽しくはあるのですが、バルサ流を好むがゆえにファンになった者としては、このフットボルはもやもやします。

今回のラーヨ戦で良かったことは、ネイマールの個人技中心とはいえたくさんゴールが決まったことと、それによって勝点3を確保できたことです。レオ・メッシアンドレス・イニエスタ(それにチャビ・・・)不在のバルサは“バルサらしさ”がほとんどないですが、この不調も戦力が整うであろう年明けからは改善されると期待し、あとしばらくは結果優先でOKと割り切って応援するしかなさそうです。

ネイマール、バルサで初の4得点

このラーヨ・バジェカーノ戦における最大の英雄は言うまでもなくネイマールJr.でした。大エースのレオ・メッシがスタンドから見守るなか、そのメッシの代わりとなってチームを牽引する責任を引き受け、メッシとしてではなくネイマールとして勝利の立役者となったバルサの11番。バルサ入団を巡っての雑音で周囲がざわつくことを物ともせず、きっちり仕事を果たしたそのメンタリティは天晴れです。

最終ラインを高く保ち、スペースを残してくるラーヨは、ネイマールにとってはやり易い相手だったでしょう。バルサの攻撃は背後のスペースを狙うパス&飛び出しが中心となり、それらの多くはネイマールを経由して行われました。バルサの11番は4ゴール1アシストの大活躍。レオイニエスタのいないバルセロナは個人技突破に大いに頼ることになってますので、出来ればもう少し周りの生かし方が効果的になりますことを願いつつ、どうにかこのパンチ力が単発でないことを祈るところです。

この土曜日にバルセロナ選手として初めてポーケル(poker、1試合4得点)を達成したネイの最初の2ゴールはペナルティキックから生まれています。自ら手にしたペナルティを蹴る際、おや?と見るものを驚かせたのはそのルーチンが変わっていたことでした。これまではボールから離れて小刻みな助走を入れていたのが、今回は助走を取らず、シュートも強さよりコースを重視。その理由について彼は試合後、「クラウディオ(ブラボ)やマルク(アンドレ・テル・ステーゲン)、マシップと練習してたんだ」と説明しています。

2つのペナルティキックによって2-1と逆転に成功しつつも、ラーヨに主導権を握られていた後半、2分間の2ゴールで勝負を決めたのもネイマールでした。3点目はまず彼がエリア左で溜めを作り、上がってきたルイス・スアレスへとパス。ルイシートのシュートはトーニョによって弾かれるのですが、そのこぼれ球を抜け目なく蹴り入れたのは点取り屋たるところです。さらにその1分後にはスアレスからのプレゼントパスを無人のゴールへと流し込み、4-1と勝負は決したのでした。ちなみに3-1の際のダンスパフォーマンスは新星ラッパーSilento (17歳)のヒット曲 Watch Me (Whip/Nae Nae)だそうです。

そして最初のペナルティを決めた時に右手で作っていた“L”の字はもちろん、“Leo”の“L”。ピッチ上でゴールを分け合ったスアレスとの連係と並び、南米トリデンテの関係の良さを表す振る舞いでした。

ピンチで登場したブラボ

今回のもう一人の英雄は守護神クラウディオ・ブラボです。最終スコアはマニータ快勝ながらも、内容としては決して褒められたものではなかった試合で、勝点3を無事ポケットに収められたのはネイマールが4度ネットを揺らし、かつブラボが2失点に抑えたから(どちらの失点も彼のせいではない)。安定して試合に勝つために必要な守備は相変わらず不安定なままで、果敢に攻めてきたラーヨに好いようにボールを運ばれた時間帯も少なくありませんでした。

試合がややこしくなっていた可能性は十分にあります。2-1で迎えた後半、積極的に前に出て主導権を握り、決定機を作ったのはマドリーチームでした。ネイマールの連続ゴールで4-1となるまでの15-20分間はラーヨがゲームを支配。バルサゴールにはシュートの雨が降り、ブラボの堅守がなければ、どういう結末になっていたかは正直分かりません。チリ代表ポルテーロは48分のハビ・ゲラ、50分のエベルト、66分のラス・バングラと3つの決定機をブロック。2-2となる展開を阻止し、ネイの決着弾へとつなげられたのはブラボのおかげです。

このバルサの守備での不安定さは、チームブロックとしての守りが機能していないことが原因です。攻撃時は頼りになるネイマールスアレスですが、彼らがインテリオールたちと協力してボールを前で納められないために最終ラインも前に出ることが出来ず、体勢が整わないままにボールを奪われては速攻を食らう。同タイプのフットボルを志向するラーヨに選手個々の能力では上回りながらも、チームとしてのポゼッションでバルサは敗れました。その結果が、カンプノウなのにシュート数で14対22と引けを取るという悲しさ。5-1とゆとりのリードを手にしてからも試合をコントロールすることが出来ず、1点を返されていますし、この守備が果たして安定するものかと、不安は膨らんでいきます。

個人の出来としては、ダニ・アルベスはどうしちゃったのか。ジェレミー・マテューも冴えていませんし、これならマルク・バルトラをもっと起用してほしいです。

セルジ・ロベルト、中盤でも良い出来栄え

もう一人好印象だったのは、この試合ではインテリオールを担当したセルジ・ロベルトです。イバン・ラキティッチの元気のなさが気になる反面(迷いの小道に入っている?)、ロベルトの溌剌としたプレーは最近のバルセロニスタの清涼剤。ドン・アンドレスの領域には達しないものの、怪我で不在のカピタンの代わりとなってボールをコントロールしようと奮闘し、幾つかの好プレーによって中盤でも自らが役に立つ選手であることを証明しました。特に試合序盤の、プレーが個人技主体になってしまうまでのプレーはラキティッチへの痺れるラストパスを始めとして輝いていました。

セルジ・ロベルトは試合を振り返り、「継続して試合に出ていることで自信が得られた。感謝をしているし、これが続いていくことを期待しているよ」とコメント。「もし退団していたら、きっと後悔していたことだろう」と述べています。ラーヨ戦の内容に関しては、「勝てたことが一番」としつつも、「前線へと速くボールを送ろうとしすぎたことで、たくさんのボールを失ってしまった」と分析。これが次以降に活かされることに期待しましょう。

ただの便利屋から、どのポジションを任せても信頼の出来るチームに不可欠な選手へ。試合を見るたびにため息のこぼれてしまう最近のバルサにおいて、セルジ・ロベルトは数少ない楽しみの一つです。この調子で彼が、バルサといえばロベルトだね、と言われるような存在へと羽ばたきますように。フォルサ!

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