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バルベルデ「バルサのスタイルを探求しつつ、可能であれば一捻り加えたい」

自分たちを駆り立てるチームスピリットを生み出したいと新監督。

2017年6月1日(木)に行われたエルネスト・バルベルデのFCバルセロナ監督就任会見は注目度が高く、カンプノウに隣接する施設 アウディトリ1899には100近いメディアから約150人の報道陣がやってきたそうです。一発目の会見、それもバルサとなれば独特のムードがあって緊張もするでしょうが、翌日のSPORT紙が「魅了した」と称えるようにバルベルデさんの言葉や振る舞いは概ね好評。そのあたりはさすが経験豊富で良識人と言われるだけのことはあります。アスルグラナ新監督がここで強調したのは、世界的に知られているバルサのスタイルを探求し、もし可能であれば一捻り加えたいということ。あとはカンテラとの連携も重視したいというチングリさんなので、大いに期待したいところです。

大きな挑戦に胸弾ませる

人の良い紳士たる雰囲気がにじみ出ていて、見るからに穏やかそうなエルネスト・バルベルデ。昨日行われましたバルサ監督就任会見でも彼は、時に笑みを混ぜながら、落ち着いた様子で記者さんたちの質問に答えています。カンプノウ時代最初の会見は、時間にして約1時間。特筆すべきは報道陣から出された32の質問のうち、31が新監督へ向けられたらしいことです。通常はもっと質問が行くロベルト・フェルナンデスは、監督の回答に横で頷いていればOKで、これは異例と言えます(SPORTのルイス・マスカロ記者曰く、過ちは“カンプノウをノウカンプと言ってしまった1つだけ”)。

そして訊ねられたことに対し、一言答えて次、ではなく、丁寧に考えを伝えるバルベルデ。どこかの首相のように話をはぐらかすことなく、誠実に応対する様子は、とても好感が持てます。

チングリさんは入団会見の前日にカンプノウを訪れ、バルトメウ会長の案内でミュージアムを見学しています。それに関して曰く、「ミュージアムを少し歩いてみるだけで、自分に掛かるプレッシャーが解る。先人たちが残した結果は偉大で、ハードルは非常に高いね」。しかしそれに怖じ気づいているようでは、最初からバルサの指揮官なんて務まりません。バルベルデはいいます。

この要求度の高さが、これから私が臨んでいく挑戦を大きなものとしていく。刺激的な挑戦だよ」「自分が何に立ち向かっていくのかを、そして私たち監督は全ての敗北の父だということを私は知っているんだ。それを引き受けるからこそ、今は私はここにいる」「私には自信がある。難しい挑戦だけれど、重要な挑戦でもある」

「勝ち続けることへの大きなプレッシャーがあるだろうが、それは私が上手く処理していることでもある。あとは外部の揉め事が選手たちに影響しないようにしていくよ。反応していくべき未知の事柄がたくさんあるだろうね」

絆が成功のポイント

バルベルデバルサが成功を収めるために不可欠なのは“団結、絆”だと指揮官は考えます。「私は人生のクラブであるアスレティックを後にした。あそこの職員たちはまるで家族のようだったし、ここでも同じような絆を生み出せれば、と思うんだ。それが目標を達成するためのポイントの一つだ」

「私はバルサのスタイルをよく知っているし、自分を適応させなければならないだろうスタイルに継続性を与え掘り下げることが私の考えで、もし可能であれば、そこに一捻りを加えたい。私たちには素晴らしいスカッドがあり、偉大な選手たちがいる。日ごとに良いチームになる、その手助けをしたいと思う。そして良い時も悪い時もチームが一つであることだよ。私たちを駆り立てるチームスピリットが、ファンに感動を生むんだ」

バルサのスタイルに適応する

スカッドの再編成については、「まだ来たところなので」との理由で言及は避けたバスク人監督。ではどんなチームを作ろうとしているのかというと、上にもありますようにバルサらしいチームだとミステルは説明します。

多くの成功を手にしてきたこのチームのプレーとスタイルに、私は適応しなければならない。バルサのプレーが連携を基本とし、ピッチ中央でのパス回しを用いることを私は知っている。システム?このチームは4-3-3、それに3-4-3も上手く利用しているけれど、そこは重要ではないさ。すべては可変だ。とはいえ、プレーをコントロールするために必要なことには私たちは合わせていくだろう。ルイス・エンリケがバルサのスタイルから遠ざかっていたとは思わない。見てバルサと認識できるプレーだったよ」

ルーチョバルサに関する見解は、前任者への敬意も含まれているのは確かです。エルネストはこうも言っています。

「バルサを経験した全ての監督たちには皆、共通する挑戦があった。それは自分がバルサに適応するのか、それとも自分のスタイルを続けるかだ。いずれにしても、どの監督にもそれぞれの特徴ややり方がある。プレッシングの位置が高かったり、低かったりね。私たちは立ち止まっていることは許されず、前進をしなければならない。そして上がったり下がったりと、ゼロ成長なるものは存在していない。ルイス・エンリケは非常にハイレベルだったし、私からは何も言いたくはないんだ。どんな言葉も悪く解釈されうるからね」

「ポゼッション?全てを分析する必要があるけれど、バルサのプレーは攻撃も守備も、常に集団としての動きが基礎となっていた。それが重要であり、バランスを取る必要があるんだ。チームが快適にプレーするための方式を見つけ出さなければならない」

メッシ、イニエスタ、スアレス

バルベルデは選手個々についてもコメントをしています。まずはチームの大看板レオ・メッシについて、そしてイニエスタスアレス右ラテラルと続きます。

メッシは私がこれまでに見た最高の選手で、彼をトレーニングできることは私にとって唯一無二の経験となるだろうね。メッシは頂点に達したかのように見えて、毎回見るものを驚かせる。彼をサポートできることを期待しているし、この機会を楽しみたいよ。彼はどこでプレーをしようとも決定的になれる選手だ」

イニエスタはあらゆる観点において、チームとクラブにとって非常に重要な選手。彼とは話をしていくことになるだろう」

スアレスはゴールをすることが習慣となっているデランテロなので、このバケーション中に嗅覚が失われないといいね。彼にはサイドから出てきて、アシストやゴールをする力がある。タイミングもいつも正しいよ」

右ラテラルにはアレイシセルジ・ロベルトがいて、どちらもチームに貢献できる選手たちだ。セルジのポリバレント性がチームに役立つことを期待してるよ。分析が必要だ」

夏のツアーとカンテラーノ

バルベルデはバルサ監督としての初めての夏に、北米遠征ツアーなるものをこなさなければなりません。「プレシーズンの開始日をいつにするか考えないとね。おそらく(7月)12日だろうけど、まだ分からないんだ。ツアーではビッグクラブとの試合が組まれているが、それはチームにプラスとなるだろう。全てが始まる時、チームが良い状態であるようしておきたいね」

そして集金ツアーでマドリーと対戦するバルサですから、スーペルコパと合わせてこの夏は計3度のクラシコが行われる。チングリさんは「ハードだけれど、良いことだ。大きな刺激になる」と意欲を燃やしていますが、スケジュールによってはかなり消耗するので、調整は難しいでしょう。

では最後に、クレが重視してほしいと期待するカンテラーノに関する言葉を挙げておきましょう。バルベルデはこう述べています。「フィリアル(Bチーム)のテクニコたちと円滑な関係にありたいね。あちらにはトップチームに昇格できる選手たちがいる。もしフィリアルが(セグンダAに)昇格すれば、競争力を増すのでベストだよ。どの選手がいい具合に伸びているのかを知りたい」

そういえばルーチョも最初は同じようなことを言っていたのを思い出しますが、チングリさんはカンテラーノ重視を貫いてくれますでしょうか。結果を出しながら若手を育てるのは、特にバルサのようなビッグクラブでは難しいと承知しますが、是非上手くやってほしいです。たとえば5-7年後に、バルベルデの子供たちが主力となっていれば嬉しい。

 

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