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みんなの観戦記

 

トリブナ!
「と」さん
2004年02月15日、リーガ第24節、アトレティコ戦

試合の二日前にバルセロナに到着し、宿でシャワーを浴びたらすぐにカンプノウに向かいました。

地下鉄のラス・コルツで下車したもので入り口とは反対側に来てしまい少し嫌な気分になりましたが、偶然にもバルサの練習を見ることができました。練習場の周りは敷地の内外を問わず人だかりができておりました。私もずっと眺めていたかったのですが後ろ髪を引かれる思いでチケット購入が最優先とその場を後にしました。

後ほど選手のサインを求めて地下駐車場の出入り口で出待ちしている集団がいたので、暇つぶしと日光浴を兼ねて加わっていたのですが、どうやら他の場所から帰っていたようです。車椅子の少年とかいたんですがそんなにええ話は転がっていないということでしょうか。

グッズショップで警備員に試合のチケット売り場とスタジアムツアーのチケット売り場を尋ねたのですが、バルセロナではカンプノウと言ってもあまり通じないのですね。カムノウが現地の呼び方だと改めて気付かされました。

バルセロナにはそう何度も来られるところではないので思い切って、一番高い席を買おうと決めました。値段はトリブナで64ユーロでした。今までサッカーのチケットにそんな金額を払ったことがない上に現金の持ち合わせが少なかったので動揺しましたが、カードで購入できたので助かりました。

ついでにスタジアムツアーのチケットもカードで購入しようとすると断られました。2つ隣、わずか5メートル足らずしか離れていない窓口で使えたものが使えないのには首をかしげるばかりでしたが、おそらく販売課と広報課かなんかで部署が違うのではないかなと解釈し、また9.5ユーロなので妥協しました。

そういえばキャプテン翼の高橋先生が来られていたからかどうか存じませんが、博物館のショーケースに最近までヤングジャンプで連載されていたストーリーの単行本が数冊ほど展示されてありました。驚いたのでデジカメに納めてあります。

 

試合当日は19時キックオフでしたが、16時半頃にカンプノウに到着しぶらぶらと周辺の露店を冷やかして散歩しておりました。その際、17時頃に入場している人たちがいたので私もそこでチケットを提示してみたのですが、どうやらソシオとマスコミ関係だけが入場していたようで、スタッフのおじいさんが私のチケットの端に「17:30 OPEN」と書いて返してくれました。とても親切な対応に好感を持ちました。

そんなこともあり敷地に入場するとスタジアム前のスペースでバルサTVというおそらくCSの公開録画が行われており、ラポルタ会長がインタビューされていたのですが、カメラを取り出して近くまで行こうとしたのですが、直後にインタビューが終了してしまい一枚も取れませんでした。その腹いせではないのですがそこのテレビクルーが配布していたポップコーンを二回もらってやりました。相当な量でしたので食べきるのに30分はかかり、夕食は抜きました。

 

さておきカンプノウに入り自分の席に行くとなんと自分の正面にセンターラインがありました!最前列ではなく2列目でしたが、会長たちが座る席の後ろの部分でしたのでロケーションは最高の位置だったと思います。ただ一つケチをつけるなら、椅子がショボイのです。JRが国鉄だった頃の駅のベンチみたいなプラスチック制のものでした。さすがに不満だったのでデジカメに納めておきました。座り心地も悪いとまでは言わないまでもあまり良くはないためか、入場ゲートをくぐったところでラッキーストライクのロゴ入りクッションが確か1.2ユーロで貸し出されていました。試合後にパクって帰ろうかと思ったのですが遅く帰って宿の主人に迷惑をかけるのも嫌だったのであきらめました。

さて試合開始時間が近付くに連れ周りの席も埋まっていったのですがさすが高価な席です。年配の裕福そうな紳士淑女ばかり、少々若くても見た目30代後半で上質そうな革のジャケットを着こなしているなど身なりの良い男性です。その真ん中にもうかれこれ6・7年は履いているジーンズと薄汚れたアディダスのスニーカー、1700円くらいのジャージみたいな上着を着たアジア人の青年がいかに浮いていたか、想像に難くないでしょう。隣のセニョーラには完全に無視されていたような。一応バルサのユニフォームは着ていたのですが青とえんじではなくカーキ色のアウェイシャツでした。これも少しマイナスだったのかもしれませんね。

 

試合前のセレモニーやイムノの大合唱、白ハンカチと口笛の嵐には圧倒されるばかりでした。イムノの合唱には周りがブルジョワな方々なので全く参加されていないのに歌が大きくはっきりと反響して聞こえたのでほとんどはスピーカーで流しているのかと思ったのですが、耳をつんざく口笛の嵐でそんなものではないとわかりました。これがヨーロッパ最高クラスのスタジアムと只のクラブ以上のもののサポーターなのですね。

この試合、スタジアムに入るまでフェルナンド・トーレスは怪我で出てこない、危険なエースがいないことはバルサにはありがたいけど、彼のプレーを生で見たかったと思っていました。仕方ないからアトレチコのシメオネでも探そうかと双眼鏡を覗いていたら・・・。

「あれ、トーレスいるやん。」

普通に試合前の練習してる。嬉しいけど嫌な予感、まさか先発?きっと後半20分くらいからの途中出場に・・・・・・・思いっきり先発。アトレチコの9番、評判通りなんとも嫌なオーラを放ってます。DFラインから数メートルほど距離を置き、そこから加速をつけて裏を取り一気にゴールまで狙ってきます。昨シーズンのフランク・デブールがやられたように得点されて調子に乗られなくて良かった。故障明けで本当によかった。

前半はロナウジーニョ、チャビ、コクーそしてダービッツが織りなす素早いパス交換が展開される。見事すぎてアトレチコはファールで止めるしかない。タルヘタ・アマリージャが出る出る。ボール回しに見とれているとロナウジーニョがスペースを見つけ高速ドリブル、そしてサビオラへ示し合わせたかのような正確なラストパス。裏を取られて追いかけるDFが追いつく直前にサビオラがシュート。飛び出したキーパーの脇を抜けて実にあっさりとゴールの中へ転がっていた。まるでTVゲームみたいに先制点が入ったので安心していたらニコライディスに同点弾を決められた。ふと嫌なジンクスが頭をよぎる。

スタジアム観戦すると応援しているチームが勝たない。

Jリーグ、親善試合、日本代表、ヨーロッパの試合、わずかに7試合だが良くても引き分け。この8試合目でも、ヨーロッパの名門バルセロナでもそのジンクスは破られないのか・・・。

だがバルサにはメガクラックがいた!ロナウジーニョがシビれるループシュート!鮮やかな放物線を描いてゴールに吸い込まれた。その余韻に浸っている間にバルサらしいサイド攻撃からルイスガルシアのヘッド。一気に2得点して3-1。前半は完全にバルサのゲームでした。

ハーフタイムにトイレに行く。どこかで「カンプノウは世界一のスタジアム、トイレでさえバラの香りがする」と聞いたけど・・・。流石に普通のトイレだった。

後半。テンポ良くボールを回すバルサにも疲れが出てきたためか、ダービッツがタックルするシーンが増える。この試合で初めてバルサにタルヘタ・アマリージャ。仕方がないなと思った矢先に二枚目でロハ。ダービッツ退場!?アトレチコには何枚も出しておいて誰一人退場していないのに、バルサにはわずか二枚で一人退場?ハーフタイムに誰かから電話でもあったのか?バルサがそんなに嫌われているとは思ってもいなかった。

あまりにも公平性を欠いた裁定にカンプノウは耳を劈く口笛と罵声の嵐、嵐、嵐。無数の白ハンカチが振られるカンプ・ノウは想像を絶するプレッシャーを掛けていた。このブーイングを一身に受ける人間の心境はどんなものだろうか。ただ周りのブルジョワさんは苦々しい顔はするもののハンカチを振る人が他所に比べて少なかった。

これで試合は完全にわからなくなるかと思いきや、ライカールトお得意(?)のア・ラ・イタリアーナ発動。サビオラを下げてモッタ投入。バルサが守勢に回るとはアトレチコのプランになかったのか明らかに攻めづらそう。おかげで前半は両チームで4点入ったのに後半は0点は物足りないとか、セルヒオ・ガルシア出ないのかとか、ライカールトの監督キャリア100試合目は勝利になりそうだとか他のことを考える余裕がありました。審判がブーイングにびびって無難に仕事を始めたことやバルサの守備が実に安定していたこともあり、試合終了後にピッチを去る審判に再びブーイングの嵐が起こるまで大した波乱も無く終わりました。

最後は落ち着いてしまいましたけど全体的には最高でした。ロナウジーニョ、サビオラ、ダービッツ、プジョーついでにフェルナンド・トーレスを生で見られたこと。後に9連勝を成し遂げるのも頷けるバルサの好調ぶり。機能性と創造性の調和が取れている高次元のサッカー。約8万4000人の観客が入ったカンプ・ノウの雰囲気、これでも満員ではないという壮大なスタジアム。振られる白ハンカチを生で見られたこと。しかも対象はバルサ以外のもの。さらに付け加えて個人的なジンクスもなくなったし、良いことばかり。いつか満員のカンプ・ノウに立ってみたい。そう思いました。

―追加ショッピング情報―

プラット空港のバルサショップは意外といいものがありますね。なぜかカンプノウのショップで見つけられなかったバルサのCDが2種類ありました。どちらも6ユーロでイムノはもちろん収録されてますが曲数がかなり違いました。14曲のものと5曲のものでした。日本で買うと1000円くらいすると聞いているので少し得でした。

これらもカンプノウで私が見ていないもの、ハンドボールサイズのサッカーボールとバスケットボールが3.8ユーロ。百均によくある握るとぺこっとへこむような安物のゴムボールかと思ったら中身がしっかり詰まっていてよく跳ねます。

サッカーボールは通常の物は白と黒ですがそれを青とえんじののコントラストにしたもの。コントラストが逆のバージョンもあります、バスケットボールは単色で青とえんじの2種類です。サッカーボールはお世辞にもかっこいいとは言えませんが、バスケットボールはそこそこ逸品と思います。青のバスケットボールは珍しいと思ったのでついつい買ってしまいました。

最後にカタルーニャ選抜のユニフォームは某ホームページで購入すると12000円くらいするそうですが現地ではコルテイングレスでも48ユーロ、土産物屋で値切ればさらに安く購入できました。なぜか在庫のないところが多かったです。コルテイングレスでも一着しかありませんでした。