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みんなの観戦記

 

如月五番勝負!〜フエラ編〜
bohemiann67jpさん
2004年02月21日、リーガ第25節、バレンシア戦&02月29日、リーガ第26節、デポル戦

我がココロのバルサ…

スカパーの中継を見ることが日課となりつつあった私は、一昨年の秋、シゴトのエアポケットを突いて、初のクラシコ観戦(’02年11月)を決行した。初めて見る、満員で殺気立つカンプ・ノウ。コーナーキックを蹴ろうとする奴へ降り注ぐペットボトルのキャップとコインと豚のアタマと罵詈雑言…。ドリーム・チーム末期のカンプ・ノウ初観戦時(’95年9月、メリダ戦)は空席の目立つ牧歌的なスタジアムだったが、相手が変わるとこうも変わるものかと感嘆したものだった。

そして今季。

中継局が変わり、見られる試合数と生中継が減って、いつしかネットでスコアをチェックするのが専らとなってしまっていた。バルサ戦は当初あまりOAされず、されても録画ばかり。会長選のゴタゴタと、補強と強化の迷走の影響か、シーズン当初は成績も芳しくなく、まだ種を蒔いているんだ…と自分を納得させながら日々を過ごしていた。

或る日、たまたま早朝まで起きていた私は、とある試合を目にした。久しぶりに見る動くバルサ。テレビの向こう側から必死の形相でボールを追いかけていたプジョール(以下、パーマ)の、ホナウジーニョ(以下、出っ歯)の、サビオラ(以下、ウサギ)の姿…。バルセロニスタを自称するモノとして、カーサの大きな試合にしか出向かないのは義理を欠いている…。そうは思いながらも、あのクラシコの翌週の雨のアノエタでの惨敗がフラッシュバックし、逡巡し、悶々としていた。

年が明け、ユーロ・イヤーとなった今年、何の気なしに見たリーガのスケジュール。二月に地獄が待っていた。秋口にカーサでバレンシアとデポルに惨敗した我がココロのバルサ。その裏返しだ。

メスタージャとリアソール。

…きっつー…

折りしもダービッツ(以下、メガネ)が入り、中盤が安定感を見せ始め、成績も上向きつつあった。…見たい…。2月下旬。シゴトは何とかなりそうだ。翌日、2月19日出発の航空券を押さえた。

 


2004年2月21日、リーガ25節、バレンシア戦(メスタージャ)

試合前日の早朝、現地入り。スタジアムのタキージャでチケット購入(カード可)。トリブナ2階、8列目92番、102ユーロ(翌週のUEFA杯のベシクタシュ戦のトリブナ1階が30ユーロ!)。最高値は1階の120ユーロ(…くらいだったと思う…)。さすがにバルサ戦は高い…。

当日は21時半キックオフ。

泊まっていた宿の最寄駅(Xativa)からは地下鉄で10分ほど(Aragon)なのでいつでも行けるのだが、一杯飲んでウォームアップから見たかったので、19時過ぎに出る。スタジアム周りはごった返し、騎馬警官が見周り、バルはどこも満員。一本外れた通りでも満員。ボカディージョ一つで5ユーロとかして、とてもじゃないが買えない。

とっととスタジアムに入ることにした。しばらくうろついた後、スタジアムに入ったが、スタジアム内はセルベッサを売っていない(!)。水とコーラとノン・アルコールビールのみ。世知辛くなったモノである…

席は、2階でも前の方ならピッチ全体は見渡せるので、ゲーム全体が見たければ、下が空いていなくてもここで十分。ウォームアップは、だいたいフエラの選手からブーイングとともに始まる。彼らがピッチを横に数往復した頃、カーサの選手達は満を持して拍手と歓声に包まれて現れる。ジョギング、ブラジル体操、パス回し。ベンチ組はまとまって端の方でロンド。淡々と、整然と、しかし情熱を持って身体を温めていく。

試合開始。

アイマールのいないバレンシアとメガネのいないバルサ。緊張感を保ちつつも、どちらも決め手を欠く。しかしパーマ率いるバルサのディフェンスは安定し、バレンシアのオフェンスは押しが弱かった。押し気味のバルサはしかし、なかなかゴールは割れない。エンパテの雰囲気が漂い始めた78分、コーナーキックから途中出場のジェラールがカベッサでゴール。デッカイ恩返し…。

 


2004年2月29日、リーガ26節、ラ・コルーニャ戦(リアソール)

試合当日の18時、前夜のセビージャ・ダービーを見てから18時間かけてバスを乗り継いで現地入り。チケットはチャンピオンズ・リーグを観戦するときに、スタジアムのタキージャで一緒に購入(カード不可)。トリブナ1階、7列目733番、45ユーロ(数日前のチャンピオンズ・リーグのユーベ戦のトリブナ1階でも50ユーロ!)。フエラのベンチのほぼ真後ろ。ここは以前から良心的な価格設定である。地方都市だからなのだろうか。

当日は21時キックオフ。

街中のバルで一杯飲んでから海岸沿いを歩いてスタジアム入り。ユーベ戦の日より少し寒い。バルのテレビで見たモンジュイックのバレンシア戦は雪の中だった。アストゥリアスやナバーラの山間部では大雪らしい。まだまだ冬なのだ。

ほぼ満員。満員のデポル・サポーター。3階の隅にボイショス・ノイス。デポルはユーベに勝ったメンバーをいじらず、バルサは前節ケガで途中退場したメヒカーノが出ていないが、前節は累積警告で出られなかったメガネが復帰。

試合開始。

ボール支配はややデポル。何度もゴール前に迫るが、今日も守備はキレている。前半半ば、私の視線の延長線上をチャビのフリーキックが飛んでいき、出っ歯が頭で合わせて先制。静まる客席で騒いでいたのは、前の列の家族連れと最前列のチキータ3人組と私のみ。リアソールで2年ぶりの得点。その5分後、新聞の統計にも書いてなかったン年ぶりの2点目をウサギがゲット。不覚にも涙ぐんでしまった(笑)

後半。

ユーベ戦からさっぱりだったトリスタンと、お疲れビクトル(ユーベ戦は異様に良かった)を下げてパンディアーニとフランを入れてきた。立ち上がり、再び出っ歯が個人技で3点目。あまりのことにアタマがぼーっとしているところへパンディアーニが反撃。慌てて現実に戻ったが、タダでは済まないだろうとは思っていたものの、その5分後にまたやられた。カーサは息を吹き返し、がぜん盛り上がる。試合は白熱。選手も熱くなる。ラテラルの方でなんか小競り合いをしてるなと思ったら、まんまとモッタにロハ。またやっちった…と思っていたが、誤審だったというのは後日報道された通り。なんにせよ、一人足りないのは現実。ルーケとバレロンは最後まで寝ぼけていたが、後半入った二人に散々掻き回されたものの、何とか逃げ切った。リアソールでは7年ぶりの勝利。対デポル戦の連敗も(3?4?すみません、確認していません…)ストップ。

風はさらに冷たくなっていたが、それでも心地よかった。宿の方へ歩きながら、今日の激戦と今回の観戦旅行(2週間で7試合観戦)を思い返し、一人で静かに飲んだ。

如月五番勝負、全勝。