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2017年1月31日

バルサの笛は吹きたくない

審判をサポートする新技術の導入が求められる。

明らかにゴールラインを越えているにもかかわらず、認められる事のなかったリーガ第20節ベティス戦でのバルセロナのゴール。こんなスキャンダラスな誤審が発生するのは、主要リーグではゴールラインテクノロジーが利用されていないリーガ・エスパニョーラくらいだとして、今回の件は憤懣やるかたないバルサ系メディアだけでなくマドリー方面でもそれなりに問題として扱われている様子です。これで盛んになっているのが、リーガでも最新技術を導入すべきではないかとの議論。もっとも先のベティス対バルサの件はなんでも57cmほどラインを越えていたそうで、新技術なんて使わなくても得点に認められるべきものでしたが。

明らかな合法ゴール見逃した余波

ベティス戦で認められなかったバルサのゴールは、ボールのラインの越え具合が“入った入ってない議論”の余地のないものだっただけに、並みの誤審の域を超えた余波を起こしています。SPORT紙の表現では、日本人にとってはちょっとアレですが、“結末が予測不能な津波”。通常であれば、スペイン国内で取り上げられては解決なく終了となる誤審騒動にFIFAが関心を抱いてきたことで、いつもと違った話に進展するんじゃないかと同紙は見ています。

記事によると、審判委員会会長のピエルルイジ・コッリーナ氏がRFEFのアンヘル・マリア・ビジャール会長とスペインの審判責任者たちに対し、ここ最近に多発している審判論争に関する説明と今後への対策を求めたのだそうで。かの有名なイタリア人元審判さんはマラガで開催された会議にてリーガの6審判たちと一緒だったらしく、彼らにリーガの状況を訊ね、審判が悪い主役となって大きく報じられているスペインの現状を嘆いている旨を伝えたそうです。

批判を受けている審判団体も、この状況は本意ではないとSPORTはいいます。同紙によるとスペイン人審判の国際的な評価向上を目指している審判技術委員会のディエス・ベガ理事(影のトップ。有名な元国際審判)は、ベティス対バルサを担当したホセ・アレハンドロ・エルナンデス・エルナンデス審判に電話をかけて彼のパフォーマンスを非難したらしく。映像分析では、エルナンデス主審は一度ゴールを認めようとしながら副審を見て判断を変えていまして、ボールの見える位置にいながら、自らの判断ではなくプレーが見えてなかった副審を信じたことにディエス・ベガは立腹しているとのことです。

とはいえエルナンデス主審は今季ここまで良い内容でお仕事をしていたとの理由でお咎めは受けず、テオドロ・ソブリノ副審が数週間の休みになるかもしれないらしいのでなんというか。自分より遠くにいてベティス選手が視界を遮っていた副審に判断を委ねた主審ではなく、副審だけが罰せられるなら変な話です。エルナンデスさんといえば、後述するラモスの退場免除という重大失敗をしてる人なんですが。

信じられない誤審トップ10

MARCAのウェブを覗いてみますと、興味深いページがありました。題して『今シーズンの信じられない誤審トップ10』。SPORTの見解では、“2016/17のマドリーは審判の間違った判定によって7ポイントを多く獲得していて、バルサは6ポイントを失っている”だけに、なかなか勇気のある企画だと思ってみて見ますと、、、結果は次のようなものでした。

■第1位:ベティス対バルセロナ(第20節)、認められなかったバルサのゴール。
■第2位:マドリー対エスパニョール(第4節)、セルヒオ・ラモスの見逃されたハンドとそれに伴う退場。
■第3位:ビジャレアル対バルセロナ(第17節)、PKとならなかったソリアーノの腕でのシュートブロック。
■第4位:セビージャ対ベティス(第5節)、オフサイド判定で得点無効。
■第5位:レアル・ソシエダ対バルセロナ(第13節)、ライン上との判断で無効になった76分のラ・レアルのゴールは、実際はラインを越えていた。
以下、セビージャ対オサスナ(第19節)、エイバル対アトレティコ(第17節)、セビージャ対ラス・パルマス(第3節)、グラナダ対デポルティーボ(第11節)、そしてスアレスの得点はオフサイドだったとするバレンシア対バルセロナ(第9節)です。

2位のセルヒオ・ラモス以外はマドリーが恩恵を受けた誤審がない。バルサは損得合わせて4つもあるのに。情報操作でいえば、マドリー系メディアは今回の認められなかったバルサの得点を“幻のゴール”と書いていますが、57cmもラインを越えてるんですから幻もなにもないでしょう。あれは単に審判に見えてなかった合法ゴールです。

神経質になっているバルサ選手

MARCAさんが信じられない誤審のトップ10のうちに4つも選んでくれるほどに、バルセロナの試合では目立つエラーが頻繁に起こっています。その結果どうなるかといえば、バルサの試合で笛を吹く審判はほかのチームを担当する時よりも判定の一つ一つを注目されることになることに加え、バルサ選手の判定への不信感も増大する。なにかと増えるプレッシャー。そんな状況にプリメーラの審判の何人かは、内輪ではバルセロナの試合は避けたいとの気持ちを隠していないとSPORT紙が伝えています。

それによると、自分たちが不利になる判定が繰り返されたことでアスルグラナ選手たちはデリケートな判定に過敏になっていて、以前は論争に加わろうとしなかった選手ですら、最近は揉めている最中に「見てくれよ、いつもこうだ」と抗議してくると審判たちは感じているのだとか。カンプノウの観客席が審判に過敏になっているのは言うまでもありません。

ということでバルサの試合を裁くことは、しっかりと良い仕事をしても得るものは少なく、失敗すると評判を落とすハイリスクローリターンの仕事になっているらしく。あれだけ他のリーグでは起こらないようなエラーを連発しておいて、バルサを担当するのは罰ゲームのようにいわれるのはニュースが事実なら心外であります。ルイス・エンリケが以前言っていたように、審判に圧力をかけても良いことはなく、彼らを手助けする方がプラスになるのは確かなんでしょうが、なかなか簡単にはいきません。にんげんだもの。

「ホークアイ導入を欲してなかったのはクラブとリーガ」

今回の騒動でリーガ・エスパニョーラにも導入すべきだとの意見が高まっているのが、テニスなどで用いられているコンピューター映像処理による審判補助システム、通称“ホークアイ(鷹の眼)”です。WIKIPEDIAによるとゴール付近に設置した6-8台のハイスピードカメラがボールの正確な位置を撮影し、映像ソフトが瞬時に解析、ボールがラインを通過すると審判の腕時計に暗号化された信号が送られる仕組みということで、もうひとつの技術“ゴールレフ”とともに、採用すればいいのにと思います。「バルサの試合は担当したくない」という審判をの手助けにもなりましょう。

ただし、問題となるのはその導入費用。リーガの放映権をもつMEDIAPRO社の創設者、ジャウマ・ロウレス氏(バルセロナ生まれ)はラジオ局COPEの番組 El Partidazo のなかでこう語っています。

「もしリーガとクラブが一歩前進することを望むのであれば、彼らはそれが可能だ。途方もない費用が必要となるが、するもしないも彼らの決断となる。コストは1つのスタジアムにつき50万ユーロ(約6千万円)。希望するチームが設置すれば良い。これまで導入されなかったのは、各チームとリーガが望まなかったからだよ」

WIKIでは費用は1会場につき20万ドル(約1,600万円)で、費用負担は各国リーグ主催者と書いてありますから、ロウレスさんの説明とは随分違います(MDは2,500万〜5,000万ユーロと記述)。バルサはテクノロジーの採用に積極的ですし、少なくともカンプノウでは問題なく設置できるでしょう。イングランドでもドイツでもフランスでもイタリアでも採用されていますから、スペインでもこれを機に重い腰を上げるんじゃないですかね。