激しい雨の中行われたコパ初戦、バルサは集中力を切らさないプレーとボージャンのゴラッソによりきっちりと勝利をモノにした。
ともすれば気の緩みがちなセグンダB所属クラブとの対戦。前日の会見でもペップは選手たちにいつもどおり真剣にプレーすることを要求しており、その期待にチームは応えることになる。ペップはこの試合、主力の多くをバルセロナに残してきた。エトーやアンリといった大御所たちも帯同はしていたものの、基本は休みでベンチスタート。ゲームはアルベス、フレブら新戦力たち4人と、カンテラーノに託される。
最初の得点機はバルサだった。開始2分、なんとチーム一のベテランとしてカピタンマークを腕に巻き、偽のエストレーモとしてプレーしたシルビーニョのシュートが、ポストを直撃したのだ。これにてバルサ、早くも今季10個目のポスト弾。ここ数試合はウソのように得点が入っていたバルサであったが、この日はどうもゴールの女神のご機嫌が悪い。このシュートが象徴するように、久々に打っても打っても得点につながらないのである。
ここまで9連勝の勢いをそのままに、この試合にも集中して臨んでいたバルサはベニドルム相手にチャンスを幾度となく演出する。8分と27分にはボージャンに決定機が訪れ、25分にはビクトル・サンチェスのゴールがオフサイド判定で無効。42分にはアルベスの強力なフリーキックを、GKカバジェロが防いでいる。ゲームを通しての最終的な枠内シュート数は、8本だったようだ。
一方、ベニドルムはギジェルモ・アモールが「真っ向勝負を挑んでくるだろう」と警告していたとおり、非常に闘志溢れるチームだった。例えバルサが相手であっても、それだけで怯むことはない、というのはいい。それがベニドルムの誇りだろう。13分にはあわや先制点という場面も演出。バルダルによる至近距離からのヘディングシュートを、ピントが好セーブにて弾き出したのだ。ただ、ピントが慌てたのもこのプレーくらい。この日は基本的に守備は安定し、ベニドルムにそう自由は許していない。
ゲームはバルサがボールを支配し、戦いを挑んでくるベニドルムをいなしながらシュートを放つというような展開で進んでいった。ゴールはいつでも決まりそう。しかしなかなか決まらない。そうして後半に突入し、9分が経過した頃、ついに待ち望んだ瞬間が訪れるのだった。ボージャンの強烈な右足ミドルシュートが、ポストをかすめながらネットに突き刺さるのである。それまでに3度チャンスを逃し、今回は彼の日ではないのかと思われていた中でのゴラッソ。さすがだ。
そしてバルサはその1点のリードを守りきり、フエラでの第1戦を貴重な勝利で終えている。無得点のままならエトー投入もあったかもしれないが、彼を完全休養させられた点でもボージャンの仕事は大きい。怪我明けのフレブが90分間プレーできたのも好し。ビクトル・サンチェスはこの試合のベスト選手の一人であり、だいぶトップチームでのプレーも慣れてきたようだ。
油断はならないものの、これにて1/8ファイナルへの進出はほぼ決まったといえる。過去に何度も苦渋を飲まされたコパの初戦で、努力を怠らずきっちりと勝利を飾れたのは素晴らしい。これぞペップ効果である。これにて、公式戦10連勝。いいチームになってきた。
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