悪コンディションもなんのその。難敵マラガを敵地で下し、リーガ7連勝(公式戦11連勝!)でついにリーガ首位に躍り出た。
この日のマラガはアンダルシア地方にしては珍しく、雨に包まれていた。ピッチにはそこかしこに大きな水溜りができ、試合延期も危ぶまれるほどの雨だった。グラウンドコンディションは最悪、まともにフットボルがプレーできる状態とは言いがたかった。しかし審判の判断により、ゲームは予定通りキックオフとなる。
流れるようなパスワークを基本とするバルサにとって、このピッチ条件は間違いなく不利に働いていた。スルーパスを通そうにも、水で止まるボール。局地戦はどれも、肉弾戦とならざるを得ない。しかし今の好調バルサには、そんな要因すら克服する力があった。ドリブルは上手くやれなくとも、ファールを得れば飛び道具がある。前半5分、メッシが得たエリア正面25mほどの位置でのフリーキックをチャビが突き刺し、またもあっさりと先制点をゲットするのだ。壁を越え、カーブを描きながらゴール右角に吸い込まれるフリーキック。芸術的シュートだった。
だがマラガも好調なだけはあり、簡単には事を運ばせない。彼らはすぐにリアクションを示し、これまたあっさりと同点に追いついてみせたのだ。12分、浮き球パスによってバハがピケの背後へ抜け出し、バルデスと1対1に。そこでのシュートはバルデスが身を挺して弾き返すものの、こぼれ球をドゥダに拾われ、絶妙なコントロールシュートをゴール左隅に決められてしまうのだった。バルサ、5試合ぶりの失点。
雨で思い通りのプレーができないだけに、エリアにボールを放り込めばなんとかなりそうな状態。あるいは打ち合いになるかと思えたゲームだったが、ここからのバルサは素晴らしかった。素早い寄せと当たり強さによってマラガに自由を許さず、上手くいかないなりにボールを支配。ポジショニングの良さで、こぼれ球をことごとく自らのものとするのである。そして18分、軽々と追加点が決まった。
始まりはエリア右からのフリーキックだった。メッシが入れたボールをマラガがクリアし、それを再びメッシが拾うパターンを繰り返すこと2回。最後はメッシが左足を振りぬき、逆サイドネットにボールを突き刺した。重いピッチのため、今回のメッシはエネルギー配分を計算しながらのような印象だったが、ここぞという場面ではさすがの働き。得点への嗅覚、決定力はお見事だ。
マラガはその後、反撃を試みるも、バルサが集中を切らさず上手くゲームをコントロール。スコアも動くことなく後半に入るのだが、この時点ではまだ勝敗は決していなかった。マラガにもチャンスはあったといえる。しかしその望みの綱を断ち切ったのは、チャビだった。52分、左方面に位置したエトーから前線右にボールが送り込まれ、これをアンリ(3分前にイニエスタに代わり途中出場)が頭で落とす。そして左に走りこんでいたチャビがダイレクトに左足で流し込み、1-3とするのだった。後ろからの飛び出し、押さえを効かせた正確なシュート。グレイトなり、チャビ。
2点差となり、マラガはこれで挫けたようだった。逆にバルサは、モチベーションを維持。その後も疲れ知らずに元バルサ選手アルアウが守るゴールへと襲い掛かる。シュートやクロスのクリアボールをほぼ奪えていたのが主導権を握れた大きな要因。バルサは幾度となく2次攻撃によってチャンスを作り出していた。
そして80分には、前節アルメリア戦に続いてダニ・アルベスのフリーキックが火を噴く。強力なアルベスのシュートはDFに当たりながらも勢い収まらず、激しくコースを変え自ゴールへと突き刺さるのだ。アルベスは66分にも同様に、強烈なフリーキックを放ち、DF壁に当たってポスト直撃弾となっている。“二度目の正直”によってスコアは1-4。この雨の試合で、4得点はすごい。
重いグラウンド、パスワークを阻害する水溜りも、バルサの快進撃を止める障害とはなりえなかった。前節まで首位だったバレンシアがサンタンデールにて散ったため、バルサが念願の首位奪還。昨シーズンは結局一度も座ることのなかったリーダーの座に、ペップバルサは9節にして手が届いた。この安定感を持続できれば、半年後のリーダーもバルサになっているだろう。完全に言える。このバルサは強い。
|