格下相手に決して気を抜かなかったバルサが、順当に敵地にて勝利を収めた。1/8ファイナル進出は、これにてほぼ確定。
どこぞの白チームとは異なり、ペップに率いられるバルサは基本的に相手を過小評価することなく、どんな試合でも真剣にプレーを行うチームであるが、今回はさらに“アルコルコンの喜劇”により、さらに気を引き締めて臨んだ感がある。その時点で、すでに勝利は半分手にしたも同然だ。
ペップはこの試合、主力の大半に休みを与えている。ピッチに大スターたちの姿はなく、前線は特に若々しいメンバーがずらりと並ぶ。云ってみれば、テストのようなものだ。しかし普段の輝きはなくとも、チームにはいつもの献身とプレー哲学があった。それが今回のような布陣であっても、堅実に結果を残せる我らの強み。
スタメンを見て誰もが驚いたのは、エストレーモが本業のジェフレンを、ペップが右ラテラルに置いたことである。それはかつてのプジョルを思い出させるものだったが、ジェフレンもまた監督の突然の要請を裏切ることなく、不慣れではあったが無事にこの任務を全うしている。ペップもその仕事ぶりには満足な様子。ジェフレンの新しい生きる道が出来たのかもしれない。
前半は、クルトゥラル・レオネサの頑張りもあり、展開は拮抗したものとなっていた。技術で勝るバルサがもちろん支配率では上回ってはいたが、やはりメンバー上いつものようにはいかない。決定機はなかなか作り出せずにいた。一方のレオネサも、サプライズを起こそうとの気持ちは窺えるものの、チームの基本力の壁に当たり、こちらも多くのことは出来ず。バルサを苦しめるには至っていない。この日はピントを始め、バルサ守備陣も気持ちが入っていた。
そうした主なき前半もそろそろ終わろうかという時、現れたのがペドロだった。40分、エリア左方面からボージャンがドリブル突破を試み、ひらりひらりとふたりを抜き去る。三人目のタックルによりボージャンは潰されるのだが、ボールは右でフリーのペドロの元へ。この機を逃さず、ペドロは豪快に右足を振りぬき、ついにネットを揺らすのである。0-1となり、これでバルサは落ち着いた。
ちなみにペドロはこれで今季、スペインスーペル杯、欧州スーペル杯、リーガ、チャンピオンズに続き、国王杯で5つの大会での得点を達成。あと残るは、クラブムンディアルだけとなった。
ハーフタイムが明け、ゲームはバルサが支配するようになっていた。時間の経過と共に、その傾向は強まっていく。そしてペップは、さらなるテストを実行することにした。56分にガイをベンチに下げ、アビダルを投入。マクスウェルを右に移動させ、ジェフレンを左エストレーモに上げたのである。この交代は、功を奏することになる。このあたり、ペップの引きは強い。
62分、本来のポジションに戻ったジェフレンから、エリア内にふわりとしたボールが送り込まれる。そしてゴール右、落下点に走りこんでいたのが本日の主役ペドロ。彼はそのままダイレクトにボールを流し込み、スコアを0-2とした。このあたりの得点感覚はさすがだ。
これで勝負は決まった。クルトゥラルはその後一矢を報いるべく、三人同時の選手交代を行ってくるのだが、流れに変化はなかった。いや、むしろバルサのゲーム支配がさらに強まったといっていいだろう。終盤には、ペップはジョナタン・ドスサントスをピッチに立たせ、期待株にデビューも経験させている。
そうして試合は0-2で終了した。バルサにとっては、申し分ないスコア。これにてカンプノウでの第2戦は非常に楽な状況で戦える。ミッション・コンプリート。また、現役王者を相手に全力を出そうとしたレオネサも好印象。第2戦もいいゲームをしましょう。
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