勝てていた試合を、あとほんの少しのところで逃した。これは非常に勿体ない。ただただ、勿体ない。追加点を決めておかねば、痛いことになるのが今回の教訓。
バルサはこの試合、精力的に勝利を目指してプレーしていた。しかしながら舞台はバルサが伝統的に苦手としているパンプローナはレイノ・デ・ナバーラ。熱い観客に後押しされたオサスナの積極的なプレス網に捕まり、パスを上手くつなげない。開始1分でメッシが決定的なチャンスを掴んだのだが、そのシュートは惜しくもGKリカルドの壁に阻まれる。結果として、この日はリカルドが最後までメッシの壁となった。
オサスナの守備は実に組織立っていた。計算された配置、余裕を与えない前線からのプレッシング。バルサは2週間前のメスタージャと同様に、落ち着いてボールを回させてはもらえなかった。チャビとイニエスタには絶えずマークが付き、メッシとイブラヒモビッチは孤立。バルサは望むフットボルを封印された。ただし、オサスナも攻撃で多くを行えたわけではない。拮抗した展開だったが、ボールは中盤の行き来で終始していた。
とはいえ、チャンスは双方1回だが作れている。28分の右コーナー。意表を突くサインプレーによってエリア内でイブラヒモビッチが完全フリーでボールを受けるのだが、彼のシュートは惜しくもホセチョに当たって跳ね返された。逆にオサスナは33分、ファンフランが個人で持ち込みゴール右から虚を突くクロス系のシュート。ボールは枠をわずかに逸れている。
ハーフタイム後、オサスナの圧力はさすがに徐々に弱まってきていた。バルサを90分間抑え続けるのはそう簡単なことではない。だがパス回しにいつもの鋭さもアイディアもないチームペップは、決定機を作り出すことは出来ずにいた。バルセロニスタとしては、じりじりする内容。だが72分、後半最初の大チャンスでついに、バルサはオサスナの壁を突破するのだった。
エリア際でデフェンサ3人を引き付けたメッシからエリア右のプジョルへとボールが渡り、カピタンはすぐさまグラウンダーのクロス。これを逆サイドのケイタがねじ込み、先制点を奪い取るのである。このところのケイタはまさに絶好調。リーガでの得点を6とし、ピチーチまで1ゴールと迫っている。
待望のリードを手にしたことで、バルサは落ち着いたようだった。プレー内容も向上し、ゲームをコントロールするようになっていた。終盤はバルサに何度もシュートチャンス。87分にはイブラヒモビッチが、ロスタイムにはメッシが2度、それぞれに決定機を作り出したのだ。だがこれらはデランテロたちの単独攻撃によるもの。チームとしての押し上げの意志は弱く、0-1を守ることに重点は置かれていたようだった。そしてリカルドが輝き、気合のセーブでシュートをことごとく跳ね返したのも、バルサにとっては痛かった。
試合後、オサスナのカマーチョ監督は「2点目を決められるかと思った」と語っているのだが、もっと追加点を奪い、試合を決めようとしていたなら、結果は違っていたかもしれない。最後の最後に、思いも寄らない出来事がバルサを待っていたのだ。
ロスタイムも終わろうかという93分、エリア左へ抜け出したカムーニャスが粘りを見せ、かつそれに対応したマルケスがあっさりとかわされてしまったことが、勝負に大きく作用した。プジョルのカバーも及ばず、ボールはニアのピケに当たり、さらにバルデスにも当たって自ゴールへと刺さってしまったのだ。まさかの展開に、沸きあがるスタジアム。呆然のバルサ選手たち。
試合は土壇場にて、1-1で終了した。ベルナベウでマドリーがヘタフェを破ったため、2位との差は1ポイントに縮小。勝てていたゲームだけに、これは実にもったいない。追加点がほしかった。シーズン中にはこういうこともあると、気持ちを切り替えるしかない。
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