巧くルビンに守られた。そしてその組織網をバルサは破ることが出来なかった。
この試合の重要性を嫌というほど分かっているグアルディオラはこの日、怪我から回復したばかりのアルベスをいきなり先発で起用している。寒さによる怪我のリスクより、アルベス、ピケ、プジョルの布陣を敷きたかったのだろう。
バルサはキックオフ直後から、積極的にルビンゴールを狙っている。当然ながら守備に意識を集中するカザンに対し、ボールは圧倒的に支配。前半15分時点では、その支配率は9割にも迫ろうかとしていた。チャンスも早々に作り出した。2分、イニエスタのスルーパスにイブラヒモビッチが抜け出し、GKリジコフと1対1となったのだ。だが惜しくも、ズラタンのシュートは右ポストに嫌われる。なんとなく、嫌な予感。
ルビンの守りは非常に組織立っていた。攻撃はカウンター一本に絞り、5人のラインが2つエリア前に並んでいる感じ。時に最終ラインは6人となり、バルサのパス、クロスをことごとく跳ね返していった。これでは、中央突破はほぼ不可能。よほどの技術と幾らかの運も必要となる。となればサイドでの崩しとミドルシュートだが、この試みはもっとやるべきだったろう。バルサの攻めは、単調だった。
チャンスらしきものは18分のチャビの技ありバセリーナでの中距離弾と、20分のイブラとの連携によるメッシの強引な中央ドリブル突破、そしてハーフタイム前のトリックプレーによるフリーキック(イブラが打つと見せかけ、イニエスタにパス)くらい。あとの二つはそれなりに惜しかったが、リジコフが注意深くよくカバー。この日、彼は非常に集中していた。
一方のルビンはカウンターが鋭く、40分、一本のパスから際どいシュートまで持ち込んでいる。
後半に入っても、試合の流れは変わらなかった。ボールは支配するがチャンスに出来ないバルサと、時折見せるカウンターでバルデスを脅かすルビンと。むしろ得点の匂いではルビンの方に分があり、30分と32分、この二回のカウンターは正直ヤバいと思わせた。バルデスの適切な飛び出しによるセーブがなければ、やられていた可能性は高い。本日のMVPはバルデスで、それはチームにとって好ましくないことだ。
一向にゴールが近づかないバルサは、それでも辛抱強くボールを回してはいたが、内容は改善する兆しをみせなかった。そこでペップは駒を動かす決断をする。怪我からようやく復帰したティティ・アンリをケイタに替えて送り込んだのだ。ゲーム残り10分のことである。結果論ではあるが、この交代はもう少し早めで良かった。ただ、ケイタは最近乗っていて、アンリがどれだけ左で拠点になれるか未知数だったので、慎重になったのも分からなくはない。
そのアンリは89分、カウンターから惜しいチャンスを手にしている。メッシがドリブルで中央を駆け上がり、左のアンリへとパス。絶好調時のティティなら、これで何とかしていたかもしれない。だが彼は身体のバランスを崩し、シュートは大きく枠を外れた。万事ほぼ休す、の場面だった。
そうしてゲームは0-0のまま終了。見応えがあるといえばあったが、バルセロニスタにすれば物足りない結果・内容だといわざるを得ない。チャンピオンズで点の入らないバルサ。前節まで最下位だったインテルがキエフで勝利し、首位浮上。バルサは3位に沈む。これによって残り2試合は大げさではなく勝利が絶対条件となった。カンペオンは茨の道へ迷い込んだか。
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