なんとなく曇り空が続くペップバルサ。ここらで一発、盛大なる勝利がほしいこのマジョルカ戦にて、グアルディオラは大胆な選手起用を行ってきた。なんとベンチにメッシ、チャビ、イニエスタ、アルベスらを残し、一方で怪我明けのアンリを起用。実験的要素の強い、“プランB”といえるメンバーを組んできた。
ゲームはまず、マジョルカがいい出足を見せた。中盤のマルティ、ボルハ・バレロらが精力的で、動きの鈍いバルサを威嚇していく。メンバーを入れ替えても、バルセロナにフレッシュさは見られなかった。だがそれでも、一回のチャンスでゴールを奪えてしまうのもバルサだ。11分、エリア正面でのイブラヒモビッチの個人技(超ヒールパス)に反応したペドロがラインを抜け出し、きっちり先制点を決めてしまうのである。しかしズラタンのテクはえぐい。
その直後にも、ペドロはアンリのミドルシュートがこぼれたところを詰め寄るなど見せ場を作るが、少しバルサが主導権を握りだしたかというところで、あっさりと同点を許してしまうのである。19分。きっかけとなったウェボの1対1からのシュートはバルデスがなんとか防ぐものの、続くコーナーでヌネスをフリーにしてしまい、失点。ここらが今のチームの不安定さを表している。
1-1となり、再びマジョルカを突き放したいチームペップだったが、プレーは精彩を欠いた。中盤、前線での活動量が少なく、スペースを生み出せない。パスコースが限定され、カットされ易くもなる。各プレーの正確性もイマイチだった。なんとかしようとはしているのだが、上手くいかない。全体としての活力不足が感じられる。
だがハーフタイム前になり、流れはバルサに傾く。39分、怒涛の波状4連続シュートの末にペドロがネットを揺らすのだ。ロングクロスへのペドロのボレーシュートに始まり、アンリ、ブスケツがシュートの雨を降らす。最初の3本は、いずれもGKアワテが気迫のブロック。だが4本目、ペドロのとどめまでは防ぐことは出来ず、バルサは待望の追加点を手に入れた。
それだけでは終わらない。42分、フリーキックからエリア内密集地帯のアンリが頭で押し込んで3-1。ティティはなんと5月2日、あのベルナベウ2-6以来の得点となる。これで勝負の趨勢は決まる。ゲームを決めた3分間だった。
ロシアでのルビン戦後、ペップが云っていたように、入る時はゴールは入る。いつもよりダイレクトな単発攻撃だらけの今回のバルサだったが、より“らしい”プレーを行ってもダメだったゲームよりもスコアが賑やかになるのだから。
後半、2点のリードを手にしたバルサはギアを落としたようだった。元々低いギアだったので、ゲームはより単調で退屈なものとなる。そこでペップは続々とスター選手たちをピッチに送り出している。そのことでゲームを観る興味は保たれた。メッシ、チャビ、イニエスタがペドロ、ブスケツ、アンリに代わって登場したのだった。
バルサの攻撃に期待感が生まれたのは、主にイニエスタが現れてからとなる。そして84分、メッシが仕掛けた速攻から、エリア内でイブラヒモビッチが倒されてペナルティの笛。これをメッシがきっちり決めて、スコアは4-1となった。
3点リードでもうバルサの勝利は揺るぎない。しかし遅まきながら、最後にマジョルカが意地を見せる。守備がドタバタするバルサのエリアに攻め入り、二度ほどの決定的チャンスの末、敵方のケイタが1点をもぎとるのだ。結果に影響はないが、このところの守備陣にはピリッとしないところがある。改善ポイントだ。
そうして、バルサは重要な勝点3を手中に収め、またも訪れるリーガ中断に入る。クラックたちのエネルギーを節約できたのはポジティブだが、FIFAウィークはやはり憎憎しい。しかしアトレティコ、最初から期待なぞしていないものの、白相手にはどこまでもふがいないねぇ。
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