今季カンプノウ初リーガであり、前日にマドリがこけたことによって、スタジアムは晴れ晴れしい気持ちでキックオフを待つ。チーム全体のリズムとしてはまだまだ本調子には程遠いが、相手が相手なので問題にはならなかった。
マジョルカの戦法は、クーペル得意の引き守り。ボールは圧倒的にバルサが支配し、遅いテンポながらも自由にパスを展開する。こういうゲームは、先制点がとにかくカギを握るということで、バルサは積極的にゴールを狙っていった。序盤は最後の局面での正確性を欠いていたのだが、状況を打破したのは、頼れるエース、エトー!
1点目は27分、左サイドを突破したジオのセンタリングを、エトーが地面に叩きつけるヘディングシュート。ボールはGKモヤのほんの手前でバウンドし、そのまま体の横をすり抜けてネットへと吸い込まれていく。絶対に前半に失点をしたくなかったマジョルカの狙いはこれで外れ、意気消沈するところをバルサはズドンと突いていく。
わずか4分後、エリア周辺でボールを展開したところでデコが絶妙の浮き球スルーパスを送り込み、それに反応したジュリーが迷うことなくシュート。強烈なボールはモヤの腕によって阻まれるが、弾かれてクロスバーに当たったりしているところにエトーが突進、またもヘッドでゴールの中に押し込んだ。言葉での説明が難しいが、気迫のこもったいいプレー。エトーは金曜日の練習中に頭を強打して検査入院をしていたが、そんな様子は微塵も感じさせないプレーだった。
ゲームは事実上、この2点によって決着。後半はいってみれば、“消化”するために存在しているようなものだった。バルサは特別プレッシャーをかけるわけでもなく、チャンスが来れば攻めるという具合。そんなエンジン半回転のバルサを、マジョルカはまったく崩せない。クーペルチームは集中力を失い、つまらないタックルや小競り合いによって立て続けに2人が退場処分。この調子でいけば、今季も残留争いは避けられそうにない。
となると気になるのは新入団選手たちで、バン・ボンメルとエスケーロが連続してピッチに送り込まれる。ぬるいゲームなので本領発揮には程遠かったが、バン・ボンメルは存在感を示そうと積極的にプレーに絡んでいこうとしていたのがGOOD。エリア前にドンドン出て行くところが、“らしさ”を出していた。
水曜日にチャンピオンズを控え、バルサも省エネフットボル。決定機を確実に生かしてゲームを決められたこと、難敵が続く9月の緒戦を勝利で飾れたこと、これが大きかった。9月11日はカタルーニャの記念日。フィエスタもまずまずの形で締めくくれたということで、とりあえずはOK。 |