アトレティコ戦での悲惨なゲームの印象を払拭するため、必勝体制で臨んだ一戦はしかし、バルデスとカニサレス両ポルテーロの“プレゼント合戦”によって引き分けに終わった。
バレンシアはいつものように、非常に規律のとれたプレーでバルサにプレスをかけていく。プレッシャーのかけ方が有効的で、かつロナルディーニョとデコの調子が今ひとつということもあり、バルサの攻撃は右サイドのジュリーと中央のエトーによるものが中心だった。そして前半終了直前、バルサはジュリーのゴールによって先制に成功。精神的にダメージを与える時間帯でのゴールだったことで、カンプノウは勝利の予感に包まれつつハーフタイムを迎えることになる。
しかし後半、逆にバルサがダメージを受ける形で同点を許す。主役はビジャ。53分、バルサエリア内にボールを持ち込んだビジャがエヂミルソンのチェックによって転倒。眉唾もののペナルティをもらい、あっさりと1-1へと持ち込んだ。
ビジャの悪夢はこれだけでは終わらない。そのわずか1分後、今度はバルデスのまさかのミスによってバレンシアは2点目を手に入れてしまうのだ。バルデスに圧力をかけるため、チェックを仕掛けるビジャ。バルデスは急いでクリアしようとし、蹴ったボールがビジャに当たってゴールに吸い込まれていった。静まりかえるカンプノウ。いや〜な予感がスタンドに漂った。運もないとはいえ、まったくもって考えられないエラー。アマでもやらないようなエラーだ。
どうにかしなければならないライカーだが、解決策を見つけることが出来ない。エヂミルソンとイニエスタがピッチに送り込まれるが、事態を改善するには至らない。選手交代では、ゲームの流れは引き寄せられなかった。
結局、バルサは相手ポルテーロのエラーによって同点に追いつく。クロスボールを掴み損ねるという信じがたいプレーによってもらったチャンスを、デコがゲット。盛り上がるカンプノウは逆転弾を要求したが、この日のバルサにはその能力はなかった。
それにしても、現在のバルサのリズムの悪さはどうしたことか。良かったのはスーペルコパの第1戦だけであり、その後は昨シーズンのようなダイナミズムもオートマチック性も見受けられない。メンバーは同じであっても、エラーばかりが増え、プレーのレベルはまったく追いついていないのが実情である。なかでも、ロナルディーニョとデコが一刻も早く本来の調子を取り戻すことが重要。シーズン終了後のW杯のことなどは今は忘れ、目の前のゲームに集中すること。そしてリーガを獲得したことに満足しないこと。ライカーはチームに喝をいれなければならない。 |