バレンシア戦でのプレーが悪かったデコとロナルディーニョを、一罰百戒の意味を込めて召集リストから外したライカー。理由は「休養を与えるため」としていたが、チームに喝を入れるためという意味があるのは明らかだった。そしてその効果があったのか、今日のバルサは見違えたような動きを見せる。特にバン・ボンメル、エトー、ラルソン、エスケーロらのプレーは素晴らしかった。
ロナルディーニョとデコのいないバルサは、エトーやジュリーの速度を生かし、ボール支配よりもカウンターを主眼とした戦術を採用する。最初にビッグプレーを見せたのはバルサ。8分、チャビのスペースへのパスにシルビーニョが反応し、クロスを供給。これに合わせるべく中央へ飛び込んでいたラルソンが相手デフェンサに倒され、ペナルティの笛が吹かれた。キッカーはエトー。シュート自体は悪くなかったが、ポストに当たってはどうしようもない。
しかしバルサはそんなことではへこたれない。19分、右寄りからのチャビのフリーキックにバン・ボンメルがきっちりと合わせ、ヘディングによるゴールで先制に成功する。ゴール前でめっぽう強いバン・ボンメルの本領発揮といった得点だった。
両チームの出来栄えから言えば、この時点で勝敗は決していたといっても過言ではない。だが、事態はバルサにとってさらに良好な方向へと転がっていくことになる。21分、ベレッティのタックルにファールをとらなかった審判に対し、オリベイラが幼稚な作法で抗議、退場処分となるのである。
こうなってしまえば、流れはバルサ。37分にセットプレーから同点となるヘディングを許してしまうが、そんなものはたいした影響はなかった。ただし、マークを外されたことにより失点を許したエヂミルソンのプレーはいただけない。彼は前半で交代となる。
後半、ライカーはボールの支配率を高めるためにイニエスタを投入し、これが功を奏する。今度こそ本当の本当に流れを引き寄せた。46分から90分まで、ボールはバルサのもの。特に疲れを知らず動きまくっていたのが、バン・ボンメル。エトーはあたかも中盤の選手のようだったが、バン・ボンメルはあたかもデランテーロ。ゴール前への飛び出しは見事だった。
そして57分、エトーが角度のないところからペナルティの失敗を帳消しにする高難度のシュートをズドンとネット天井に突き刺す。ゴラッソ!波に乗ったエトーの勢いは、もう止まらない。エトーはその20分後にも追加点を叩き込み、バルセロニスタを歓喜の渦に。だがこのゴールは、その直前に投入されていたマクシの頑張りが生んだゴールだった。右サイドで相手選手に囲まれながらも決して諦めずにボールをキープし、結局最後はエトーにゴールを奪われたマクシ。次があるさ、頑張れ。
しかし頑張ったその12分後、またもマクシはゴールを他の選手に提供することになる。今度プレゼントをもらったのは、エスケーロ。気にすんな、マクシ、今度こそあんたのところにボールが来るからさ。 |