保守的に、岩石のごとく守りに専念したハードなサラゴサのプレーの前に、苦戦を強いられるバルサ。タイトルを狙っていくには心もとない、集中力を欠いたプレーによって後半開始早々に連続してゴールを奪われたバルサは、終了間際にどうにか同点に追いついて見せるのが精一杯。このところ取り戻しかけていた流れも、途切れさせてしまうことになった。
この日はチャビがローテーションで欠場となり、代わりに入ったイニエスタが申し分ない働きを見せる。バルサのMVPは彼だというくらいに、攻守におけるイニエスタの貢献度は高かった。ゲームの序盤、主導権を握ったのはその彼とジュリ。守備的にゲームに臨んできたサラゴサに対し、ジュリの裏への飛び出しが効いていた。ボールを支配するのは完全にバルサ。しかしそれがチャンスになかなか結びつかない。これは、と目を引いたのは20分、ロナルディーニョのエリア内でのかかとによるスペースへのバックパスを、エトーが強烈に放ったシュートくらいだった。しかしこれはセサールに阻まれゴールならず。
押してはいるもののスッキリはしない、そんな展開で前半は終了する。
後半はバルサにとって最悪の形で幕を開ける。まずは48分、サビオのフリーキックをエベルトンが頭でそらし、走りこんでいたミリート(弟)が得意のヘッドでズドン。さらには53分、右サイドでフリーのサビオにボールが渡り、そのままどう猛なシュート。これはバルデスがジャンプ一番なんとか弾いたが、コーナーに逃れることが出来ずに、こぼれ球にミリート(兄)が詰め寄り2点目をゲット。予想外ではあったものの、彼をフリーにしたのがマズかった。
ここでバルサはリアクションを試みようとするが、頭よりも身体が先に出てしまって空回り。ライカーは流れを引き寄せようとバン・ボメル、メッシー、ラルソンを連続して投入、バン・ボメルが強引にエリア内に侵入し、ペナルティを獲得する。この一連の流れで、サラゴサはトレドが退場となっている。ちなみにペナルティは無事決まったものの、審判の指示によって蹴りなおしをさせられたロナルディーニョ。よく集中力を切らさなかったものだ。
ここからはバルサの押せ押せムード。ラルソンが効果的に攻撃に絡み、バルサは連続してゴールチャンスを手に入れる。しかしジオのシュートがセサールにセーブされたり、エトーのシュートがポストに嫌われるなど運もなく。これはヤバイと感じていた88分、マルケスからのロングボールをサラゴサ守備陣がお見合いし、その隙を見逃さなかったエトーがボールを奪い去って同点に。こんな冷や汗はご勘弁、といった展開により、ギリギリのところで引き分けを手に入れた。 |