なんだかんだいって、バルサは強い。おおよそ1年間カーサでは負けなしだったヘタフェを、これがカンペオンだというプレーで粉砕。積極的な守りでバルサの攻撃の芽を摘み取ろうとするヘタフェには苦労させられはしたものの、最終的には自力の違いが現れたといえる。
ゲームは開始直後、わずか2分に動く。DFプリードがなんと上がってきていたシルビーニョにボールをプレゼントというとんでもないエラーから、ボールを受けたエトーがきっちりゴール左隅にぶちこんで先制。数日前のパナシナイコス戦に続き、キックオフ直後のゴールによってバルサはいきなりゲームを有利に進めることになった。
ヘタフェのゲームプランはいきなり修正を余儀なくされたが、それでも彼らは懸命にバルサにプレスをかけ続ける。クビージョ、ディエゴ・リバス、セレスティーニの3ピボッテがかなり有効的であり、バルサはなかなか自由にボールを回すことができない。しかしそれは相手も同じことで、どちらかというと守備に重点を置くヘタフェにバルサの守備網を崩すだけのアイディアも個人の力もなかった。リキが個人的に頑張ってはいたが、オレゲールまでは何とか出来てもプジョル&マルケスの壁は破れず。仕事のないバルデスは、なかば観客と化していた。
という具合に膠着気味になった前半における、バルサの主な攻撃パターンは左サイドをオーバーラップするシルビーニョ。彼の攻撃参加によってバルサは2つのコーナーを獲得しており、その1つはマルケスが、もう1つはモッタがヘディングで“あわや”という場面を作っている。両方ともヘタフェ守備陣の奮闘によって得点ならず。
そして後半、攻めに出るしかないヘタフェは前に出るという“賭け”に出る。となると守備ラインの背後に登場するスペースは、ロナルディーニョにとっては格好のターゲットに。後半15分、中央のロニーから左気味のエトーにスルーパスが通り(オフサイドギリギリ)、ほぼGKと1対1。エトーはそのまま十分にGKを引きつけておき、タイミングを見計らって真ん中でドフリーのジュリーへ。フランス人エストレーモは難なく2点目のゴールを奪い取った。
事実上、ゲームはこれで決まり。スタジアムもヘタフェもすっかり意気消沈し、バルサはごく楽にボールを展開させていく。無理をして攻める、という空気ではなかったものの、さらに70分には呆気なく追加点ゲット。ゴール右側で獲得したフリーキックを、モッタが完璧なコースでゴール右隅にねじ込んだのである。GKルイス・ガルシアは成す術なし。さすがリバルド仕込み、と声をあげてしまう見事なシュートだった。
こうなってしまうと、あとは流していけばいいわけで、ライカーは80分にモッタに替えてデコを投入。怪我から復帰したデコを実戦で少し慣らしておくことで、クラシコへの準備はさらに整った。終了間際の89分にペルニアにゴラッソ(エリア左隅手前から豪快なボレーシュートをファーサイドに叩き込まれる)というアクシデントがあったが、これはもう“もらい交通事故”のようなもので、どうにか出来るといったタイプのシュートではない。打ったペルニアを賞賛。
5試合連続完封を最後に逃したのは残念だったが、それでも合計18-1という結果は文句の付けようがない。あと2週間後、調子の上がらないマドリをベルナベウで撃沈する準備は整った。 |