チームとしての完成度に圧倒的な違いを見せ付けた、バルサの完全勝利。
キックオフ直後こそメレンゲは気持ちを前面に押し出したプレーで主導権を握ろうとするが、いかんせんボールに正確性がなく、バルサが少しプレスをかけると勝手にパスミス。ロビーニョは張り切っていたのは伝わってきたが、かなり空回りしていた。
それとは逆に、バルサはライカーが先発起用したメッシーが非常に効果的だった。ロベルトきんに君が上がって空けたスペースを活用し、メレンゲ守備陣をキリキリ舞いさせる若き天才。白組はメッシーを、ファールによって潰すしか止める方法はなかった。しかしそんな彼らの抵抗もむなしく、スピードに乗ったドリブルでエリア際まで切れ込んだメッシーがエトーとスイッチするような形でボールを渡し、エトーは素早いターンからのつま先のシュート。いつもは一人でマドリゴールを守っているカシージャスも成す術なく、バルサがあっさりと先制した。静まり返るベルナベウ。時計はまだ15分を過ぎていなかった。
バルサの組織によるプレーを緩めるためには、是が非でも先制点が欲しかったマドリだが、このゴールで自分たちに対する疑問が再浮上してくる。怪我人をどうにか間に合わせてきたものの、熟成や意思統一という点で明らかに見劣りのするメレンゲ。ジダンもロナルドも、とても銀河系選抜に選ばれるようなパフォーマンスを披露できない。この恥ずかしすぎるニックネーム、そろそろ考え直してはどうだろう。逆にバルサは先制点で自信を深め、チームブロックはいっそう強力なものになっていった。
結局、前半のマドリに見せ場なし。バルサはガラクタコの不用意なパスを簡単にカットし、ボールを回すなりカウンターを仕掛けるなり、自由にプレーを行う。メッシーのフリーで抜け出してからのシュートが決まっていれば、白組はその時点でジ・エンドだったのだが、それを回避するだけの運はちょっとばかし備わっていた。
そして後半、ルクセンブルゴの指示がどうだったのかは知らないが、試合の流れは変わらない。いや、マドリは流れを変えられない。中途半端な攻めをしては、ボールを奪われてカウンター。バルサの2点目が、まさにそんな感じだった。サルガドが上がっていたスペースを、ロナルディーニョが高速ドリブルで駆け上がる。ザル守備第1弾セルヒオ・ラモスを中学生相手のごとく抜き去り、エリア内でもエルゲラを余裕で攻略。これでカシージャスと1対1となり、左隅にゴール。噂に違わぬヌルイ守備をクラックが粉砕し、再びベルナベウは沈黙した。
0-2になったことで、メレンゲの白い野望は音を立てて崩れ去る。バルサを相手に残り30分で3点獲るのは今の彼らではほぼ不可能。同点が関の山で、敗戦の可能性がとてつもなく大きい。さらに失点の直前にラウールが負傷交代しており、より状況は悲惨なものになっていた。この後マドリはグティとバティスタをピッチに送り込むが、ご両人とも大河の流れを変えることは出来ない。メレンゲにあるのは何とかしたいという気持ちだけで、プレーがまったくそれに追いついてはいなかった。ハッキリ言って、恐怖感ゼロ!
そして77分、駄目ガラクタコに厳しい現実をこれでもかと見せ付ける瞬間が訪れる。2点目と同じように、ロナルディーニョがドリブルでエリア内に切れ込んでいき、ザル守備陣をホイホイ抜き去って3点目ゲット。まーーーったくなにも出来ない自分たちの“クラック”たちと違い、きっちり仕事をする“本物の”クラックに対し、ベルナベウの観客たちはスタンディングオベーションという形で返答した。クラシコでバルサのプレー、それにマドリのダメっぷりに対して拍手が起こるというのは、なかなかにお目にかかれるものではない。
本気の本気でやれば、さらに得点差は開いていた可能性は十分にあったバルサだが、これ以上のゴールは試合の展開上大した意味はない。この3ゴールだけでも両チームの実力差は如実に証明されていたし、個人のパフォーマンスでも違いは歴然。もはやマドリは、ガラクティコなどと呼ぶに相応しいチームではない。名前だけは一流どころが揃ってはいるが、グループとしてなにも出来ないメレンゲ。バルサという本当のチームを前にした時、彼らの実力がさらけ出された。昨シーズン、ベルナベウで得た教訓をしっかりと活かし、逆にレクチャーし返したバルサ。両チームの差は、4ポイントに拡がった。メレンゲからしてみれば、何百光年もの距離がありそうな4ポイントだ。 |