カルチョ指揮スタイルに手こずりはしたものの、最終的にはバルサの勝利。強い。
この試合にバルサは、名誉以外のものはなにも懸かってはいなかった。いわゆる“消化試合”。しかしどこかのメレンゲとは異なり、メンバーを落として臨もうとも選手たちのモチベーションは衰えず、チームとしてのクオリティも大きく変化はしない。これがバルサの強みだ。
引いて守るウディネに対し、ボールを支配し主導権を握るバルサ。この構図は、今回も変わらない。しかしガッチリ守られているので、さすがのバルサといえども簡単にはゴールを奪えなかったが。前半に輝いていたのはジュリーだった。12分、デコのパスから抜け出したジュリーは、エリア際から強烈なシュートを放つ。しかしこれは惜しくもクロスバー直撃でゴールならず。そして42分にも角度のないところからシュートを放つ彼だったが、今度はポストに阻まれネットを揺らせなかった。
後半の出だしは、ウディネーセのペース。しかしプジョルを中心とした鉄壁の守りは、揺らぐことはない。結局ウディネは決定的チャンスを作れず、そのままゲームは沈滞期に。1/8ファイナル進出には引き分けでいいウディネは、ペースを落としていく。バルサもこれに同じ。しかしウディネにとって計算外だったのは、“予定調和”や“お約束”などとは関係なく勝利を狙うバルサというチームが相手だったことだ。
85分、フリウリのスタンドはグループリーグ突破を確信してウェーブを始めていた。普通であれば、消化試合のチームが残り5分でゴールを狙いにくることはない。しかしバルサは違った。エスケーロのシュートがバーに当たり、その浮き球を巡ってゴール前で混戦になっているところから、エスケーロがゴールを奪う。凍りつくフリウリ。そんなアホな!の瞬間だった。
さあ大変だ、とウディネーセは攻撃を開始する。しかしさすがに遅すぎた。82分のディ・ミケーレの掴んだ決定的チャンスをモノにしていれば問題なかったのに、もたもたして活かせなかったのが運の尽き。焦るウディネを尻目に、バルサは再びエスケーロが薄くなった守備ラインを抜け出し、フリーのイニエスタに横パス。美白はこともなく、無人のゴールにボールを流し込んだ。アディオス、ウディネーセ。
これでバルサは、クライフ時代に並ぶ公式戦10連勝を達成。メンバーを入れ替えようとも結果を掴み取る強さ。もはや誰もバルサを止められない。あと1勝すれば、55/56シーズンに打ち立てたクラブ最高記録に並ぶことになる。伝説は、こうして作られていく。 |