エトーがコパ・アフリカで、デコが2試合のサスペンションで欠場という逆風の中、それでもバルサの勢いは止まらない。派手なパフォーマンスによるスペクタクルな勝利ではなかったが、それでも勝ちを収められるところがバルサの強みだ。
前半はなんとなく、“薄味”な展開で進んでいく。バルサは2〜3回チャンスを掴むが(イニエスタの突破、ジュリーのフリーでのシュートなど)、惜しくもこれらは点には結びつかず。しかし点が取れそうな予感は十分にあったので、スタジアムには楽観的な空気が流れていた。
そしてその予想通り、後半開始直後にバルサはスパークする。右サイドを突破したジュリーのグラウンダーのクロスを、GKコスタンソがファンブル。それを詰めていたラルソンが見逃さず、ちょこんとゴールに流し込んだのだ。バルサが、先制。バルサにとって最も困難な仕事は、先制点を奪うことである。必死で守りこんでくる相手からゴールを奪えれば、相手のプランは崩れる。となると、あとはイケイケで大量得点もありえるわけだ。
この日も、ピッチにはゴレアーダの予感は漂っていた。しかし年に数回あるような、ポストとクロスバーにことごとく嫌われる日であれば不運も仕方なかろうか。特に“呪われていた”のはジュリーで、いい感じで突破し、いい感じでフリーになり、いい感じでいいシュートを打とうとも、そのボールはすべてバーに跳ね返される。笑っちゃうくらいに、この日のフランス人エストレーモはツキがなかった。
いくら押し気味に進めていたとしても、1点差では何が起こるか分からない。出来るだけ早く追加点が欲しいバルサ。その欲求を叶えてくれたのが、現在と未来のメガクラックたちだった。83分、ロナルディーニョがエリア内までドリブルで突っ込んでいき、至近距離からシュート。これはコスタンソのナイスセーブによって防がれるのだが、こぼれ球のところにはきちんと走りこむことを忘れなかったメッシー。スコアは2-0となり、勝負は決した。
あとは残り時間がなくなるまでボールを回すだけ。マルケスの芸術的スライディングやビックリのプジョル交代などもあり、最後まで興味は持てるゲームだった。前半はしょっぱかったが、終わりよければ全てよしということで。次の試合、ジュリーに今日の分の運がまわってくれば、なおのこといい。 |