バルサがイニシアチブをとった時間帯もあったが、全般を通せばアトレティコのペースで試合は進んだ。開始早々からアトレティコは猛烈なプレスを仕掛け、前線から積極的に詰め寄ってくる。守備ラインも高く、バルサの中盤は圧迫され、機能不全に陥っていた。
4分のコーナーキックのチャンスを決めていれば話しも違っていただろうが、メッシーのヘッドは惜しくもあと数センチ届かず。その後はこれといった決定機を作れず、組み立て自体も全く上手くいかない。トーレス、マクシ、ペトロフらに効果的なボールが届くアトレティコとは対照的だった。
そして33分、右よりのイバガサからのクロス。ガブリとウラゲールがチェックに行っていたのだが、結局ガジェッティが上手く彼らの背後にボールを落とし、そこにいたトーレスがズドン。恐れていた先制点を、奪われるべくして奪われた感じ。いつものカンプノウでのゲームとは異なり、とてつもなく不吉な空気がスタジアム全体に漂った。
そして後半、ライカーは前半は中央に偏りすぎていたという反省点からか、ジュリーとエスケーロを投入する。メッシーを下げたのは、ハーフタイム直前にアントニオ・ロペスから受けたタックルによって左ふくらはぎの筋肉を伸ばしてしまっていたから。勝負を賭けた交代だったが、今日のライカーは采配が結果的に裏目。
47分、左サイドのペトロフが力強いドリブルでウラゲールを突き放しながら突っ走り、中央のマクシへセンタリング。オフサイドっぽいと言えなくもないが、なんなく決めて0-2。この日の両チームの出来からして、このゴールで勝敗はほぼ決していた。
ここからバルサはどうにか同点、逆転へと反撃を開始するが、実を結んだのは1回のみ。イニエスタがエリア深くから折り返し、ラルソンがどうにか足に当てたシュートがかろうじてアトレティコのゴールを割るのだ。鬼ペレア、鬼パブロらの守りを突き破るにはこういったゴールしかないというような、そんなゴールだった。
この後の数分間は、アトレティコが冷静さを失った時間帯。バルサの攻勢にラインを下げ、エリア付近で守ろうとするアトレティ。そうなるとゴール近くでボールを回せるようになるので、バルサにも得点の匂いはあったのだが、それも10分ともたなかった。前線からのプレスの重要性に気づいたアトレティは前半からのプレーを取り戻し、バルサのチャンスは費える。
そして筋肉のオーバーワークによってマルケスを下げた直後の75分、イバガサ(?)、マクシ、トーレスと上手くヘディングでボールをつながれ、最後は“ニーニョ”トーレスが絶妙のコントロールから抜け出して悪夢の3点目。せめて引き分けだけでも・・・というバルセロニスタの期待を打ち砕くゴールによって、事実上の終止符は打たれた。 |