バルデス痛恨のエラーが、勝敗を分けた。
ロナルディーニョが不条理な制裁によって出場停止となったため、エスケーロがそのポジションを担当。彼はキックオフ当初はジオとのコンビネーションで幾つかのチャンスを演出はしたが、決定的なものとはならない。ボールの支配率はそれなりに6割程度いっていたバルサ。しかしパススピードやアイディアが不足し、バレンシアが見せていたような激しさも感じられなかった。オフサイドに救われたが、4分あたりにアイマールにネットを揺らされるなど、危険な匂いをさせていたのはバレンシアだったと言える。
さらにバレンシアは20分にスピードあるドリブルによってレゲイロがウラゲールを突破し、バルデスと1対1に。このシュートは飛び出しのプレッシャーによってかろうじてポスト右に外れるのだが、かなり決定的だった。さらにアイマールの超美技による単独突破からのシュート(32分)など、肝を冷やすシーンの連続。バレンシアの作り出したチャンスは、いずれもゴールとなっていてもおかしくはないものだった。
そしてバルサはと言えば、38分の右コーナーからのマルケスのヘディングが唯一のビッグチャンス。ドンピシャでのシュートだったが、カニサレスの堅守により阻まれゴールならず。
かくして支配率はバルサ、決定機はバレンシアという展開で無得点のまま前半を終えようとしていた44分、試合を揺るがすプレーが生まれる。それはジオからの、ほんの何気ないバルデスへのバックパスからだった。ビジャが前線に残ってはいたものの、バルデスには十分に余裕がある。圧力を受けているわけでもなく、プジョルかマルケスに普通にボールを渡せばOKの場面。しかし彼の送ったパスは勢いが弱く、プジョルに届く前にビジャにカッとされることになる。ビジャはこのエラーを見逃さず、バルデスの頭上を越える余裕のループシュート。ボールは弧を描き、メスタージャの大歓声とともにバルサゴールに吸い込まれていった。
バルサは直前の41分ににジュリーが負傷交代となっており、嫌な雰囲気でのハーフタイムとなった。
後半になっても、ゲームの流れはさほど大きく変化はしない。ラルソンが中央にいるということでエトーがかなり下がった位置までボールを受けに来るが、たいした効果はなし。どうしても攻撃は真ん中よりとなり、いまひとつサイドを活かせない。そこでライカーはベレッティを投入し、66分、そのベレッティからの決定的なスルーパスがラルソンへ。スウェーデン人ストライカーはバレンシアの最終ラインを突破し、いいタイミングでシュートを放つのだが、残念なことにまたも立ちはだかったのはカニサレス。ヤツは残した右足一本で、バルサの最も危険なプレーを防いでしまった。
その後のバルサが作ったチャンスは、ベレッティのセンタリング気味のシュート、そしてコーナーからのエヂミルソンのヘディングくらい。いずれもカニさんの守りを崩すには不十分すぎた。
この敗北によってバレンシアとのポイント差は「6」に、メレンゲとは「7」に。このシーズンで最も重要な時期にきて、黄信号が点灯しかけているバルサ。余裕かと思われたリーガのタイトル争いは、にわかに混沌さを増してきている。 |