幸運な一面もあったが、勝利が妥当な結果だったことに関しては疑問の余地はない。
前半開始早々、ベティスはカウンターから複数回チャンスを掴む。これをひとつでも決め、先制点を奪えていれば、ゲームの展開は違ったものになっていた。しかしバルデスのファインセーブによってバルサは無得点で持ちこたえ、バランスは大きくこちら側へと傾くことになる。
先制点はラルソン。ロナルディーニョから右に展開したエトーへボールが送られ、そこからGKダグラスとDFラインのちょうど合間に絶妙なグラウンダーのクロス。GKは前に出ることが出来ず、ファーサイドに詰めていたラルソンがしっかりと決定機をモノにした。このゴールによって勝利を義務付けられたバルサの硬さは消え、より余裕をもったボール支配が可能となる。
そして次の2点はバルサにとってはかなりラッキーなオウンゴールの連続。いずれも“被害者”はメッリだった。最初のゴールはロニーからエトーへのスルーパスがきっかけ。パスのタイミングも完璧で、エトー完全にスピードに乗っていたことによってメッリはなんとかスライディングを試みるしかなく、懸命に伸ばした足にボールが当たり、そのまま自陣ゴールへと吸い込まれていった。
しかしメッリにはさらなる不幸が訪れる。その5分後のフリーキック、ロナルディーニョの蹴ったボールはベティス守備陣の壁に当たり、さらに少し離れたところにいたメッリの背中にも当たって、またも自陣ゴールの中へ。天を仰ぐGKドブラス、凹むメッリ。無理もない。
こうなってしまえば、完全にバルサのペース。余裕をもってボールを回し、ゴールチャンスも次々と生まれる。ただ問題だったのは、時折ベティスのカウンターによって最終ラインの裏にボールを通されてしまうことだった。特にウラゲールが背中をとられることが多く、このあたりは要修正。チェルシーが相手なら、こんなエラーは許されない。
実際バルサは何度DFラインの背後をとられたか分からないのだが、この日はバルデスの切れがよく、事なきを得ている。ホアキンのフリーキックによって1点を失いはしたが、これはクロスを予想していたバルデスの意表をついてシュートを放ったこと、そしてそのシュートがここしかないというコースに飛んだことで、ホアキンを褒めるしかない。
出来ればエトーにもゴールがあればよかったのだが、ここはプラスに考え、得点の快感に飢えた彼がスタンフォード・ブリッジで大暴れしてくれることに期待。きっとそうなるに違いない。
4日後に控えたチェルシー戦に向け、バルサは最高の形での勝利を飾ることになった。チームのモチベーションはMAXにまで上昇していることだろう。あとはロンドンから勝利を持ち帰ってくればいい。そうすれば最強バルサは完全復活し、2冠へ向けて爆走することになる。 |