ライバルたちが星を取りこぼし、バルサの独走態勢がどんどん強固になっている今日この頃、試合開始直後の選手たちのテンションは低めだった。ボールはコントロールしているものの、それはヘタフェが敢えて前に出てこないからであり、中盤より深いところへボールは送り込ましてもらえない。最終ライン付近でボールを回し、様子を伺うというアウェイ戦のようなゲームへの入り方だった。
ただし時機をうかがっての攻撃も、精彩を欠くのが今回のバルサ。ヘタフェのなんでもないカウンターから、いきなり4分に先制点を奪われるところからして、集中力が欠如していたのは明らかだった。ベレッティがナノに自由なポジション取りを許し、元カンテラーノは余裕をもってヘディングを決めた。
そんなぼんやりしたバルサの中で、気を吐いていたのはジュリ。メッシーの負傷、そしてラルソンの休養によって巡ってきたチャンスに、貪欲にゴールを目指すフランス人エストレーモ。先制点を食らった直後、ロナルディーニョの絶妙の浮き球ミドルスルーパスに反応し、ポルテーロと1対1に。しかし彼の放ったシュートは惜しくも左ポストに嫌われてゴールならず。今日もポストとお友達の日か、と思われかけたが22分、彼の頑張りが報われるのである。
ロナルディーニョがエリア左側で粘り、上がってきたジオがボールを受けてセンタリング。これをファーサイドにいたジュリが、珍しくヘッドで押し込むのだ。残念なことにボールはDFマテジャンに当たって入ったのでジュリのゴールとはならなかったが、彼によって生み出された得点であることには変わりはない。
前半はそうしているうちに、なんとなく終了。けれども後半、早々にゲームは動く。ヘタフェは立ち上がり、どうにかリードを奪おうと積極的に仕掛けてくる。しかし52分、デコが自陣で粘りに粘ってボールを奪い返し、カウンター開始。ボールはバン・ボメルを経由し、ピッチ中央のエトーへ。エトーは左のロナルディーニョを意識させながら右のジュリへパスを展開し、美しいワンツーでズドンとゴール。カウンターでもパスをつなぐ、というバルサのフットボルが見事に実践されたプレーだった。このゴールによって、ヘタフェは意気消沈する。
体力と精神力を消耗したヘタフェの反撃は終わった。中盤以降でのプレスは弱くなり、バルサは自由にボールを展開させることになる。そして68分、リプレイ映像の隙をぬって、なんだかよく分からないうちにエトーがとどめの3点目を叩き込む。ピチーチ競争を独走する22ゴール目。そういえばリーガ通算100得点も記録し、エトーにとっては非常におめでたい一日となった。
となると、あとは今後をにらんでいくことになる。モッタをセントラルに下げ、ピボッテがイニエスタ。ライカーは否定しているものの、これがベンフィカ戦にむけたテストの一環であることは間違いないだろう。結果は両者共に合格ライン。特にイニエスタの出来栄えは素晴らしかったといえる。パルコで観戦していたクーマンは、このバルサをどう見たのだろうか。最後はプジョルが“あえて”カードをもらい、次節は出場停止。完全にベンフィカ戦のテストとなるだろう。
ロナルディーニョは26回目の誕生日をゴールで祝えず。試合終盤のバセリーナ、もうちょっとだけ高さがあったなら、シナリオは別のものになったいただろうけど。 |