シュートを放ちまくるも、ベンフィカ戦と同様に入らない。みずから勝利を放棄したようなゲーム。カシージャスは壁だった。
いろんな意味で、今回のクラシコの行方を大きく左右したのはロベルト・クチカルロスだった。まず最初は21分、エリア内でのスライディングタックルが審判のミスジャッジによってペナルティに。バン・ボメルの倒れ方が上手かったともいえるが、これに腹を立てた左ラテラルは審判への抗議で黄紙ゲット。そしてそのわずか4分後、今度は審判への暴言によって1発退場となるのである。“クソ野郎”てな言葉を吐いたらしく、これは当然の罰なのだが、それによってゲームはバルサにとっては望まぬ方向へ進んでいく。
バルサはペナルティによって先制し、しかもメレンゲは10人。これは今回も楽勝ペースかと思われたが、フットボルは数的優位があっても難しい。有利な状況を絶対に活かそうとしすぎる気持ちが逆に悪い方へ働き、相手の守りを崩せない。それに選手たちの心の中には、“これはいける!”という気の緩みもあっただろう。軽率なプレーも見られるようになっていたし、中盤でボールを失ったことが結局、ロナルドの同点弾となってしまうのだ。ロベルトきんに君が退場になったことでバルサは、リズムを失った。
マドリのプレーは決して芳しいものではなかった。誇りを賭けて戦っているのだろうが、ほとんどの選手たちの動きは鈍く、とても一流チームとはいえない。特にバルサの攻めに電池が切れだす後半には、そこらのチームに成り下がっていた。バルサは一方的にシュートを放ち、メレンゲは防戦あるのみ。にもかかわらずゴレアーダにならなかったのは、バルサの決定力不足とそして、カシージャスの冷静な守りだった。
カシージャスが相手のシュートを弾きまくれば、あとは唯一のチャンスをものにするデランテーロがいればいい。それはロナルドであり、やつは昨日もきっちりと仕事を果たした。バティスタが中盤でボールを奪い、前線のオデブへスルーパス1本。最後はバセリーナなんていう余裕を見せられた。ちきしょう!彼のドリブルを追う途中でモッタが太もも裏の筋肉を痛めるというおまけまで付き、バルサにとっては痛恨の失点。
しかし1点を失ったとしても2点獲ればいいわけだが、今回のバルサにはそれがはるかに遠い目標だった。まずなにより、ボール回しにリズムがない。緩急織り交ぜながらの長短のダイレクトパスで、というようなスタイルを狙ってはいるのだが、出来は低レベル。しかもラストパスの精度も低く、最高とはいえないマドリの守備ラインを崩せない。
中央からの華麗な突破に固執しすぎていたように見える。リズムがないのに美しいラストパスにこだわっても、相手のラインは破れるものではない。無駄に壁パスを乱用しても、意味はない。もっと泥臭くていいから、とにかくゴールを割るというプレーを期待。ベンフィカ戦で同じようなことをしていたら、必ず痛い目に遭うだろう。 |