チャンピオンズ症候群といわれても仕方のないゲーム。
大一番が続いた10日間のあとの試合だったので、集中力の低下が懸念されたのだが、その心配が的中したような内容。どうにもエンジンのかかりが悪く、ギアがなかなかトップに入らない。そんなときは得てして、つまらないことから失点を許してしまうもの。バルサお得意の、短期間での連続ゴールがまたも、繰り返された。
ご覧の通り、バルサの失点は3分間に集中している。ラシンが切れたプレーをしたというのも原因としては挙げられるが、きっちりプレスが効いていれば防げたであろう。ラルソンが美しいゴールで先制していただけに、実にもったいない。先制の直後に逆転されたのだから、実にもったいない。
先制点は、バルサらしいものだった。ハーフライン付近のベレッティから、バン・ボメル→デコ→エトー(ヒール)→再びバン・ボメルとパスがダイレクトにつながり、絶妙のスルーパスに抜け出したラルソンが前に出てきたGKの足元左へ上手く蹴りこんでゴール。寝ぼけていてもさすがはバルサだね、と思わせる流れるパスワークによる得点だった。
しかし、その後がよくない。ベレッティがライン際で突き飛ばされて、オスカル・セラーノにセンタリングを許す。エリア中央にいたのはアントニート。彼はこのボールを完璧にコントロールし、ハーフターンをしながら振り向きざまにシュート。ロドリが付いてはいたが、まったく対応できなかった。
その失点はまだしも、次のはさらに良くない。ハーフライン後方から、前線への一本のロングパス。これにオスカル・セラーノがさっと抜け出し、プジョルとロドリのチェックもものともせずに振り切ってゴール。オフサイドを掛け損なった挙句の失点とは、良くない。
このラシンの2点によって、遅まきながらバルサがやっと目を覚ました。前半の残り20分ほどは、バルサの本来行うべきフットボルが展開され、その成果としてエトーの同点弾が生まれるのだ。デコの浮き球のスルーパスにジュリが抜け出し、冷静な切り返しで相手DFを処理。中央でフリーで待つエトーへ優しいパスを送り、エトーは難なくこれを決めた。
そして後半、もうちょっと気合を入れてくれるかと期待していたバルサの面々だったが、前半最初のガス欠状態に逆戻り。まともな枠内シュートすら1本もないというような酷さといえば、どれほどピリッとしていなかったかが分かるだろう。普段なら走ってプレスをかけているところも、歩いていれば機能しないで当然。今日はエンパテでいいや・・・と考えていたとしか思えない。あるいは身体と魂が、激しい10日間で燃え尽きていたのか。
さらに試合終了間際には、プジョルが2枚目のカードで退場となる始末。2枚目はファール覚悟のプレーだったので仕方がないのだが、ハンドをとられた1枚目はどう考えても故意ではなく、ゆえにプジョルが退場になる必然性はない。ロドリゲス・ペレスというマドリ協会の主審、あんたにこそレッドカードだ。
前日にメレンゲがエラーから引き分けていたため、バルサとしては絶好のチャンスだったが、カンペオン決定を早める黄金の機会を無駄にしてしまった。それでも11ポイント差は変わらないわけで、タイトルが接近したのは間違いないのだが。 |