今節でのリーガ優勝に王手をかけるためには、勝利は絶対必要条件だったバルセロナ。とはいえ4日前にミランとの激戦を行ったばかりなので、水曜日に先発だった何人かは休ませてくるかと思われていた。しかしライカーがピッチに送り出したのは、ミラン戦とほとんど同じ先発11人。入れ替わって入ったのは、シルビーニョ・モッタ・バンボメルの3人だけである。
ライカーとしては、それだけこのゲームには重要な意味があり、自分たちが気を緩めていないことをアピールするという目的があったと思われるが、必ずしもそれが上手くいったとはいえない。なにせ、あれだけの緊張感を強いられるゲームを戦ったわけだから、その反動がきても不思議ではない。さらにロナルディーニョのゴールがあまりにも早い時間帯に“サクッと”先制点を決めてしまったため、間違いなく選手たちはアクセルを緩めてしまっていた。
集中力を欠くと、どうしてもコンパクトにプレーは出来ない。3本のラインはだらりと距離を広げ、中盤での自慢のプレスが機能しない。これによってブービー賞のカーディスにカンプノウでパスをつながれ、エリアに接近されるという事態に陥いるのだった。
キックオフ直後のバルサは、リラックスはしてなかった。特に見応えがあったのが、やはりロナルディーニョの得点シーンだ。右サイドでジュリが小粋なヒールパスを送り、駆け上がってきたベレッティが深く切れ込んでセンタリング。これを中央でフリーで待っていたロナルディーニョが右足でズバッとボレー!上手く抑えの効いたシュートは、見事ゴール上部へ突き刺さった。
いかにもバルサという美しいゴールだったが、これ以降はサッパリ。1点差を守りきって勝つ自信でもついたのか、いずれにせよ選手たちが「それで十分」と思ったであろうことは間違いなさそう。気持ちが入らなければ、チームが躍動することはない。
そして先制点を奪った直後に、エリア右サイドを突破されクロスを許して失点。これはオフサイド判定により事なきを得たが、バルサはそれでも目を覚ますことはなかった。エトーのペナルティ失敗も、そうした影響があったのかもしれない。キック前、“入らなさそうなオーラ”が漂っていた。今回は何事もなかったが、リラックスしすぎることで余計な努力を強いられているのは確かだろうし、いつかは痛い目に遭いかねない。難しいだろうが、ここは改善ポイント。
事実、ゲーム終了間際にはあわや同点となりかけていた。オリのヘッドがゴール左隅を襲ったのだが、バルデスが横っ飛びでスーパーセーブ。バルサ勝利に大きく貢献した。
というわけで内容としてはいまいちのゲームだったわけだが、スタジアムは幾度となく盛り上がった。その理由は、チャビの存在。後半に入ってウォームアップを始めると大歓声が起こり、ピッチに入ったときにはスタジアム全体がスタンディングオベーション。心温まる瞬間だった。これらか2週間をかけ、本来のリズムを取り戻していってほしい。
なにはともあれ勝利できたこと、そしてチャビが帰ってきたことがこの試合の収穫。あとは1日遅れでゲームのあるバレンシアが引き分け以下の結果に終われば、98/99シーズン以来となるリーガ連覇達成だ。 |