バルサ念願の、ヨーロッパ制覇達成!
いろんな意味で、ポルテーロが試合を分けた試合。いい意味で試合の行方を左右したのが、我らがバルサのビクトール・バルデス。決定的なアンリのシュートを少なくとも3本はセーブし、スコアを0-1のままキープしていたのはバルデスのおかげ。ここで1点でも決められていたら、おそらくバルサは敗れ去っていただろう。
その一方で、アーセナルに苦戦を強いらせたのはレーマン。18分、スピードあるエトーの飛び出しに堪えきれず、エリアわずか外で彼を引っ掛けて転倒させ、一発退場となった。急きょ代役となったアルムニアはよく働いていたが、10人でのプレーは後々にチームに疲労を蓄積させていった。
試合はまずアーセナルがチャンスを掴む。開始3分、アンリがいきなりバルサ守備陣を突破し、バルデスと1対1になるのだ。これはバルデスの好セーブにて事なきを得た。
バルサはこの後、徐々にペースを掴んでいく。そして18分にレーマンが退場。この一連のプレーでジュリがネットを揺らしていたのだが、審判のハウゲはアドバンテージではなく、ファールによるフリーキックを選択。ゴールを認めたうえでのカードというのが適当だった。
これでアーセナルは10人での戦いを強いられるのだが、バルサにとってはこれが有利に働いたとは言い切れない。アーセナルはカウンター戦術に狙いを絞り、バルサは再三ピンチに陥れられたからだ。ボールは持てるものの、展開にリズムと広がりがない。それではアーセナルの堅守は崩せない。
先制点はアーセナル。数的不利も関係ない、セットプレーからの得点だった。きっかけとなったのは、右ラテラル・エボエのオーバーラップ。これにプジョルが対応するのだが、“存在しない”ファール(いわゆるダイブ)によってエリア右でフリーキックを与えるのだ。キッカーはアンリ。これを巨体カンベルがフリーでヘッド一閃し、アーセナルはまんまと1点を先取した。
こうなると、ガナーズの戦法はより明確になる。さらなるカウンター強化。これしかない。後半、ライカーは状況を打破するためにイニエスタを投入する。そしてこれがどんぴしゃり。美白マンの存在によって、バルサはただボールを持つのではなく、コントロールするようになるのだ。ゲームメイク、そして守備、あらゆる面でイニエスタは輝いていた。彼のパス展開がバルサのボール回しに深みを与え、アーセナルは徐々に体力を失っていく。ここにラルソンが加わることによって、バルサは完全に流れを手中に収めることになった。
試合が進むにつれ、サン・ドニのピッチには大粒の雨が降り注いでいた。スタジアム全体がかすんで見えるほどの雨。芝はスリッピーとなり、滑るように動くボールはバルサに翼を与える。反撃の時は熟した。いよいよ、歴史に残る4分間の逆転劇の幕開けだ。
同点弾は76分。イニエスタからの矢のようなスルーパスがエリア内に送り込まれ、ラルソンがこれを右足インサイドでほんの少しだけ角度を変えて流す。そこにはエトーが走りこんでおり、角度のないところからGKの動きを冷静に見極めつつ、あえて狭いニアポストに突き刺したのだった。流れるゴール、いかにもバルサ!グレイト・ラルソン!
こうなればバルサのものである。80分、右サイドでシュートのこぼれ球を拾ったベレッティ(71分に途中出場)からラルソンへボールが送られる。難しいパスだったがラルソンはこれをコントロールし、エリア内のスペースにボールを流し込む。これを走りこんでいたベレッティが受け、思い切りよく強烈なシュート!ボールはアルムニアの右足に当たり、ゴールへと吸い込まれていった。バルサ、大逆転に成功!すごすぎる!
よもやの逆転を許したアーセナルは、ここで闘志の糸が切れたようだった。バルサのパス回しによってじりじりと奪われた体力も限界に近づき、反撃の糸口も見出せない。最後は最終ライン付近でロンドを見せるなど、ゆとりのある展開でバルサがボールを支配。ヨーロッパチャンピオンを確定する、試合終了のホイッスルを迎えるのだった。
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