リーガもチャンピオンズも終わり、ただ1試合だけ行き場を失って残されていたアスレティック戦が、ひっそりと開催されている。
この試合は完全なる消化試合であり、バルサにとってはまったくモチベーションが上がらない試合。W杯代表選手たちは合宿へと旅立ち、負けたところで特に失うものもない。少なくともこのカードは、こんな状況で行うのはもったいなかった。
とにかく選手が出払ってしまっているので、カンテラ(BおよびC)から選手を引き上げてくるしかない。ということでオルモにオルランディ、ルドビクにマルトス、ラモンにピトゥなんてピッチピチの若手たちが、サン・マメスの芝を踏むという貴重な経験をすることとなった。
中でも出来が良かったらしいのが、セントラルに入ったオルモ。先を読む能力と、当たりの強さには今後期待が持てるそうだ。オルランディは左足の専門家で、ルドビクは豊富な運動量が自慢。ここらの3人はいいプレーをしていたということで、来季以降の消化試合ではない場面での登場が楽しみである。
モチベーションが上がらないゲームでのプレーがどうなるかというと、労働量が不足するのでサイドからの崩しというのが見受けられなくなる。通常であればベレッティやジオらが積極的にオーバーラップを仕掛け、ジオやロニーが協力してサイドを突破しようとするのだが、今回のゲームではそういったことは皆無に近い。あらゆる攻撃が中央へ寄っていくのであるから、そんなに守りやすいものはない。スペクタクルなゲームなど、要求するのは不可能である。
そんななかで気を吐いたのが、単独ピチーチ獲得に燃えるサムエル・エトーである。ビジャと分け合うという形であれば、得点王の座は獲得していたエトー。チャンピオンズ獲得の余韻を、自宅で満喫していてもまったく問題はなかった。誰も彼を責めることはなかっただろう。しかしエトーは王者は一人で十分だと考える。シーズンをより完璧なものとするため、いい意味で自己満足のために彼はバスク遠征への参加を希望した。
そして見事に1ゴールを決め、ビジャを追い払っての得点王獲得。昨年の悔しさをバネに、最後まで絶対に諦めないエトーの気持ちが、このゴールを呼んだ。お見事、サムエル!いや〜、よかったよかった。 |