目標である6冠達成は、早くもここで叶わぬ夢となった。
ヨーロッパ戦線にシーズン到来を告げるスーペルコパ・ヨーロッパ。モナコでのこの試合、バルサの出足は鈍かった。連戦の疲れによるものなのか、それともメンタルによるものなのか。いずれにせよゲームの序盤は、モチベーションでバルサを上回るセビージャのペースで進んでいく。
先制点は、7分。カウンター攻撃から、ルイス・ファビアーノがシュート。前に出たバルデスはこれをブロックしたが、懸命のセーブむなしく、弾いた球をレナトに拾われて無人のゴールへ。サクッと先制点を奪われた。
このビンタで目覚めたバルサは、ゲームを支配するようになる。チャビ・デコとロニー・メッシのコンビネーションによるパス回しで威圧し、セビージャは自陣に引きこもる。だが、それとゴールとが直結しないのがフットボル。バルサは中央突破による単調な攻撃に終始し、セビージャのネットを揺らすには至らない。セビージャの守備陣は崩れることなく、バルサは可能性のあるシュートも放てなかった。
そうするうちに前半も終了に向かい、バルサの選手たちがハーフタイムのことを考え始めたころ。セビージャはその油断の隙を突く。45分、左からのコーナーキック。バルデスはこのボールを弾くことに成功するが、ナバスに頭で折り返され、さらにカノーテがヘッド。これさえしのげば前半終了というプレーで、バルサはリードを2点に広げられてしまう。
追い込まれたバルサは、デランテーロをずらっと並べるパワープレーに出る。しかし堅守を誇るセビージャの組織を、崩すには至らない。そもそも、目を覚ますのが遅すぎたと言うべきか。むしろバランスを欠いたバルサを、セビージャが時折の攻めで苦しめるというパターンの連続。バルデスがひとりで危機をしのぎ続けていたが、それにも限界はある。90分、最後はプジョルがプエルタを倒しペナルティの笛。マレスカが強烈なシュートでこれを決め、快心のゲームに花を添えた。
悲しいかな、今回のMVPは(いるとするならば)ビクトール・バルデス。ただひとりセビージャに立ち向かい、ゲームを通して戦う姿勢を忘れなかった。しかし仲間たちのプレーが不甲斐なく、彼の健闘はまったく報われず。バルデスのセーブがなければ、点差はさらに激しく開いていただろう。
今回のゲームで、バルサは自らのイメージを傷つけた。試合開始前とその90分後では、バルサに対する印象はまったく異なったものとなっていた。一部ファンが発煙筒を焚くなどプレー以外でも悪いイメージを与え、まったくもって散々。この大敗を教訓とし、もう一度初心に返って出直す必要がある。 |