昨年はカンプノウで苦戦したオサスナに、圧勝。
試合は事実上、キックオフ直後に決まった。開始わずか1分、バルサは最初の攻撃でいきなり先制点をゲットするのだ。エリア左側でロナルディーニョがボールを持ち上がり、デコとの壁パスを交えたあと、フェイントダッシュでオサスナのエリア内に深く侵入。こうなれば、あとは中央で待つエトーに優しくパスを送るだけだった。エトーはチェックを受けながらも、きっちりとゴール。
これでバルサは一気に気持ちが楽になり、伸び伸びとゲームをコントロール。いきなりの失点にショックを受けたオサスナはプレーに精彩を欠き、まったく驚異とはなり得なかった。バルサは(特に前半は)やりたい放題といったところ。
正直なところ、アギーレ監督を失ったオサスナの今季は苦しくなるだろう。少なくとも今回の彼らにリーガ4位の面影はなく、目指すべき方向性を失っているように見られた。アイディアだけならまだしも激しさや気迫もなく、それではバルサは抑えきれない。ゲームは終始バルサが支配した。
そんなオサスナが相手であるので、多少考慮して判断する必要はあるだろうが、バルサ選手たちのコンディションはなかなかに上々といえる。モナコではセビージャに往復ビンタを食らってしまったが、しっかりと練習を重ねるにしたがって動きは向上中。ツアーや代表戦の影響は感じられなった。猛烈プレスのチームと対峙した時に真価は問われるが、現時点では好印象。
そしてスーペルコパでのセビージャ戦、リーガ開幕のセルタ戦で不安視されたディフェンスも、今回は断然安心して見られた。驚きだったのはカピタン・プジョルではなくチュラムを先発に起用したライカー采配。たとえプジョルであっても、コンディションが万全でなければローテーションにするという意思表示だ。
この監督の決断は功を奏し、カピタンの穴を埋めたチュラム、右ラテラルを担当したザンブロッタともに、「さすが」というプレーを連発。ザンブロッタは最初こそ硬めだったが、時間が経つにつれ存在感を増していった。チュラムの堅さは言及する必要なし。オサスナは大したチャンスも作ることなく、カンプノウを去ることになった。
試合はといえば、26分のエトーの追加点でほぼ完全に決まり。最終ライン、左ラテラルの位置まで戻っていたデコから、上がっていたザンブロッタに向けてのパス。これは相手デフェンサにヘッドで阻止されるのだが、バックパスになったそのボールを抜け目なくエトーが奪取。そのままポルテーロと1対1になり、右足アウトサイドで小粋にバセリーナで決めた。ファンタスティック!
さらにその10分後、左ラテラルの間でのんびりとパスを交わすポルテーロにエトーが詰め寄り、ボールをカット。エリア右で“溜め”を作り、スペースに入ってきたメッシにパスを送る。そしてメッシは恐ろしく冷静にポルテーロの股抜きでゴール。前線で惜しみないプレスをかけるエトーの献身さが生んだ2得点だった。
とにかく今日はエトーが素晴らしかった。“最初のデフェンサ”として彼が圧力をかけるからこそ、相手は焦って初歩的なミスをする。そしてそれをガッツリと活用するデランテーロとしての能力。2ゴール1アシストという数字に文句の付けようはないが、エトーがプレスでボールを奪った回数はさらに多い。世界最高のデランテーロであることに疑問の余地ナシ。今季も彼がピチーチの最有力候補だ。
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