チームとしての底力の差を見せ付けた勝利。
これまでのシーズン序盤を振り返って、「今季は違うな」といえるのはローテーションの活用度だ。昨シーズンも行ってはいたが、今季ほど積極的ではなかった。特に守備ラインに関しては、夏の補強がとても上手い方向へ進んでいる。週末のオサスナ戦と、今回のメンバーを比較してみると、両方で先発なのはわずかに5人。しかしチームは“バルサとして”同じように機能しており、層の厚さがうかがえる。
このソフィア戦、試合前に監督や選手たちが語っていたように、しっかりと集中して入っていけていた。一気に圧力をかけるというわけではないが、様子を見ながらパスを展開。試合の流れを自分たちのもとへと引き寄せていく。すると7分、さっそくチャンスは訪れた。
守備ライン深いところから出たロングパスをロナルディーニョが受け取り、そのまま縦に突破してエリア左端にいたエトーへとパス。すると密集地帯にいたエトーはボールをスルー気味に軽く受け流し、後ろから詰めてきていたイニエスタが落ち着いてシュート。いつもは入らない美白シュートだが、今回は正確にネット左隅へと吸い込まれていった。
早い時間帯での先制点。バルサはこれでグッと有利な立場に立つのだが、同時にプレーへの激しさが減少する。中盤での不用意なパスが多く、あまりにも多くのボールをあっさりと失うようになっていった。
レフスキ・ソフィアは、バルサと同様に4-3-3のシステムを敷き、パスを展開することを哲学とするチーム。全神経100%集中のバルサならばプレスにて絡め取れただろうが、前半の真ん中あたりはどうもフワフワしたプレーに終始。そこをレフスキは突いてくる。彼らは諦めずに戦い、走り、ボールを回そうとした。しかしそれだけではバルサの守備ラインは崩せない。とてもよく頑張った印象はあるのだが、それ以上は生み出せなかった。
すると39分、ひとつのプレーで流れはガラリと変化する。ファールを受けたイニエスタの素早いリスタートからボールを受けたエトーは今度は、前方のスペースに上手くパスを送り込む。そして走りこんだジュリが最初のトラップでデフェンサを抜き去り、ポルテーロの動きをよく見てきっちりとゴール。この2点目で、勝負は決まり。その両方をアシストしたのはエトーであり、彼のチームプレー精神がよく表れている。
後半は、もはや完全にバルサのペース。わずかに1度、あわやというシーンはあったのだが、チュラムの懐の深いスライディングによって危機は回避されている。さすがだ。
そのまえに完全にレフスキの気迫を奪い去ったのが、49分のプジョルのゴール。エリア左角前からのフリーキック。ロナルディーニョの蹴った低いボールをポルテーロが弾き(雨の影響あり)、詰めていたカピタンがゲット。ヘディングではないプジョルのゴールは、とても貴重である。
57分のエトーのゴールは、彼の技術力の高さによるもの。イニエスタ→エトー→デコとパスをつなぎ、再びボールを受け取ったエトーがドリブルでゴール前へ。そして守るデフェンサ2人をシュートフェイントでかわし、左足でのグラウンダーのシュート。シュート自体は強くはなかったが、コースとタイミングが完璧だったゆえ、ポルテーロもどうしようもなかった。
4点差がついた以上、バルサ(ライカー)としては残りは選手を休ませつつも新コンビの実戦練習を行っていくだけ。グジョンセンをセンターに置くという布陣を、30分間試せたのは収穫だった。
そして試合終了間際のロスタイム、今日は脇役だったロナルディーニョが“締め”をもっていく。いつものポジションから変幻自在のステップによってエリアににじり寄り、怯える(ように見えた)マーカーをあざ笑うかのようにゴール逆サイドへと突き刺すシュート。この日唯一だったかもしれないギガクラックの“本気プレー”によって、フィエスタの幕は閉じた。
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