終わってみればゴレアーダという、王者のゲーム。
ライカー初となるリーガ開幕3連勝を目指すバルサと、2連敗して後がないラシンの激突。序盤の15分は、明らかにラシンのペースで試合は進んでいった。キックオフの笛が鳴るや否や、バルデスの守るゴールへと迫り、このゲームに懸ける気迫を見せたラシン。彼らの中盤でのボールへとプレス、そして素早く展開しての攻撃には気持ちがこもっており、バルサは5分、11分と2回立て続けにポストによって救われている。このあたり、バルサに強運があるという印。
しかし唐突に、ラシンはチャンスを逃したツケを払うことになる。17分、ゴール正面40メートルほどの位置から、エトーがロングシュートを放つのだ。ボールはポルテーロの前でワンバウンドし、するりと手を抜けるようにネットへ。ラシンが少なくとも1点は入れていておかしくはない展開にもかかわらず、先制点はバルサ。これにはさすがにダメージを受けたか、ラシンの勢いは減少していく。
積極的にシュートを狙ったエトーのゴールによって、試合の流れは大きく変化した。ゲーム最初のまともなシュートによって、ネットを揺らしてしまう勝負強さ。今のバルサの勢いは、エトーの勢いと合致する。彼がこのまま怪我に悩まされることなく、コンスタントにゴールを量産してくれれば、バルサの近未来は限りなく明るい。
ただし、その後のゲーム運びに問題がなかったわけではない。精神的打撃を受けたラシンは序盤に見せた気迫を失っていた。ボールはバルサが支配し、選手個々の、あるいはグループとしての優位性を示してはくれた。それでも、第2のゴールはなかなか訪れない。ある程度パスは回るけれども、最後の決定的な崩しが上手くいかないのだ。1点差では、どんな事故が起こるか分からない。追加点を奪うことで完全に決められるゲームを、無駄に先延ばしにしたというのは褒められることではない。
結局バルサが試合にトドメを刺したのは83分、ジュリの違いを見せるプレーによってだった。エリア右でボールを受け、切れ込んでいってゴール左端に突き刺す強烈なシュート。ジュリは試合終了直前にもグジョンセンへ切れのあるパスを送っており、これが相手ポルテーロのファールを誘い、ペナルティ獲得。ロニーのオマケ3点目を生み出している。メッシに喝を入れる意味も含め、最高のアピールだった。
あと、控え目ながらもいい活躍をしていたのはマルケス。チュラムの加入で刺激を受け、ローテーションでコンディションも良好。彼の存在が守備ラインに安定感を与え、危なげなくボールを奪い取り、ラシンに格の違いを見せた。プジョル、チュラム、マルケス。今季のセントラルはぶ厚い。
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