惨たんたる負け試合といった内容だったが、最後のメッシのゴラッソが最悪の結果からバルサを救った。エトーさんの怪我があまりのショックのため、呆然。
予想通り、ブレーメンはキックオフ直後から飛ばしてきた。週末のバレンシアがそうだったように、すべての選手が連動してバルサに圧力をかけ、ボールを自由にコントロールさせない。これにはさすがのデコやイニエスタも、本来のプレーは発揮できなかった。パスはことごとくカットされ、顔ぶれの新しい守備陣の連携が上手くいかず、混乱の中でミスをしてしまうこともしばしば。ウラゲールにはもう少しリズムが必要だった。
15分を過ぎる頃までは、完全にブレーメンのペース。少なくともこの間にバルサは5回はシュートを放たれ、それをバルデスやチュラムの守り、少しばかりの幸運によってどうにか凌ぎきった。これほどのプレスが長く続くことはないのだが、冷や冷やさせられることに変わりはない。
その後、バルサは徐々に流れを引き寄せていく。ロナルディーニョ唯一の見せ場といってもいいドリブル突破が、その先駆け。デコとイニエスタがボールに絡めるようになり、パスはある程度回せるようになった。しかしチャンスの数は限られており、エトーの突破(GKビーセがナイスな反応)やジュリの強烈シュート(ロニーが頭でアシスト。ビーセの真正面)はいずれも惜しかったが、あと一歩のところでゴールには及ばない。
そうこうしているうちに後半となるのだが、ライカーはまだ手を打ってはこなかった。そして前半と同じく、序盤はブレーメンがチャンスを握る。クローセの高さのあるヘッド、ヂエゴのロングシュートは幸いなことに的を得なかったが、幸運がいつまでも傍にあるわけではない。
56分、ヂエゴが基点となってボールは左サイドへ。一度はウラゲールが足を当てるのだが、こぼれ球を処理され、インテリ右ラテラルは裏を取られる。そしてハントがクロスを入れて、プジョルのオウンゴール。プジョルが触らなければ後ろにボロウスキとクローセがいたわけで、彼に非はない。センタリングを上げられた時点で、ほぼやられていたという失点。
そのしばらく後、ボロウスキは試合を決めるチャンスを逃す。モッタの軽すぎるチェックによってヂエゴがフリーとなり、左サイドを駆け上がっていくボロウスキに“どうぞ”というパス。だがブレーメンの24番のシュートは辛くもポストの横をかすめて外れた。決まっていれば、ゲームは終わり。
そして63分、悲劇がバルサを襲う。パスを送った瞬間に右ヒザに痛みを感じ、ピッチに倒れこむエトー。彼は担架で運び出され、試合後の初期診断で全治2〜3ヶ月と診断された。バルサにとっても、エトーにとっても、あまりにも痛すぎるアクシデントとなった。
ここでライカーはグジョンセンとメッシを投入。ダメダメなプレーに終始したロナルディーニョはピッチに残された。メッシは75分に“らしい”ドリブルで守備陣密集地帯を突破、シュートは残念ながらビーセの正面だったが、ここで何かしらの予感は感じさせていた。そしてその14分後に、救世主となる瞬間が訪れるのだった。
バルサの敗色濃厚となっていた89分。メッシは右サイドでボールを受けると、水平方向へのドリブル。そこにデコとの壁パスをかまし、ペナルティスポット付近でボールを受けると、ゴール右隅にシュートを叩き込むのだった。このときのロニーの相手を引きつける動きは良し。
これで最悪の結果だけは免れたバルサではあるが、バレンシア、ブレーメンと“本気レベル”で強い相手に勝てなかったということは、真剣に受け止めねばならない。スタートダッシュはあまり得意ではないバルサの、ちょっとした停滞であることを祈るばかりだ。
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