先制点を奪われて苦しんだが、ビルバオの退場が勝負を分けた。終わってみれば、快勝。
負傷したエトーになんとしても勝利を捧げたいバルサと、今季初勝利のためにカーサで燃えているアスレティックとの勝負。序盤はしかし、執念を燃やす両チームの激しいぶつかり合いというよりは、どことなく淡々と進行していく。悪くもないのだが、取り立てて注目するほど良くもない。やや積極的な様子伺いといった展開。
しかしバルサは、守備的なエラーから先制点をあっさりと奪われてしまう。10分、バルサはザンブロッタが攻撃参加でエリア前にまで上がっていた。ここでザンビーはボールを失うのだが、ここまでは仕方ない。問題はここからで、クリアボールを受けたジェステがドリブルで上がっていくのを阻止できない。左サイドを同様に上がっているジョレンテにもカバーがつかず、そのジョレンテを使われ、折り返しをジェステが難なくボレーで決めて1-0。ブレーメン戦の失点も似た形であり、もっと中盤で潰しにかかって然るべきだろう。
この先制点で、バルサは嫌なムードに包まれる。この後数分間は、バタバタして追加点を奪われそうなシーンもあった。しかし22分、この試合を左右する場面が訪れる。ビルバオのチェックを突破したメッシが力強いドリブルで攻め上がり、ここぞというタイミングでグジョンセンにパス。グッディはラインを抜け出してポルテーロと1対1か、というところだったが、カサスが堪らずファール。イエローが妥当なファールだったが、審判は1発レッドで退場を命令。流れはバルサにくる。
これでバスクのライオンたちは亀となり、完全に守備固め。守備のリスクが減ったライカーはいまひとつのエヂミルソンを下げてジュリを投入、パワープレイを仕掛ける。ロニーは中央へ下がり、パス屋に徹するようになった。
完全に引きこもっている相手からゴールを奪うのは簡単ではないのだが、ハーフタイム目前という47分。右コーナーからのこぼれ球を拾ったグジョンセンが、左サイドからセンタリングを供給。一見プジョルが決めたかのように見えたが、相手デフェンサのオウンゴール(という判定)によりバルサは同点に追いついた。
バルサ相手で10人とはいえ、ホームで引分けでは満足できないビルバオは、後半になると攻撃を仕掛けてくる。それはバルサにとっては助かった。スペースが生まれ、最終ラインの背後を取りやすくなったのだ。グジョンセンは明らかに動きやすそうにしていた。そして59分、チャビの正確無比なスルーパスにそのグッディが反応し、守備ラインを突破。これを確実に、クールに決めて、バルサは逆転に成功した。この時点で、勝負は決まったといっていい。
ライカーは71分、殊勲のグジョンセンに替えてサビオラを投入。そしてこのコネッホも、きっちりと準備を整えているというところを示してくれる。ロナルディーニョ、チャビ、イニエスタとパスがつながって、最後は美白からウサギへのプレゼントパス。フリーのコネッホはボールを流し込むだけだった。
グジョンセンとサビオラ、エトーの穴を埋めるべき2人のデランテーロがしっかりと役割を果たしたことがとても大きい。特にグッディはタイプこそ違えど、エトーと同様にチームに貢献できる力があることを強烈アピール。退場を誘い、同点弾をアシストし、逆転ゴールも決めた。満点といっていい出来栄えだった。今後もこの活躍が続くことを激しく願う。サビオラのゴールへの嗅覚が健在だったのもグッド。
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