完敗。迷いの感じられるバルサと、信じるスタイルを貫いたマドリ。
今回もまた、開始早々の失点が事を難しくした。わずか3分、右ラテラルに入ったセルヒオ・ラモスが(この日唯一の)オーバーラップを仕掛け、クロスを供給する。これをラウルが、なんなく頭で押し込んで先制。クロスを上げる前に阻止できなかったか、ラウルへのマークはそれで良かったか、と疑問の残る失点。
予想外の簡単さでリードを掴んでしまったカペッロ・マドリーが狙うのはただ一つ。鬼軍曹式フットボルで、バルサのプレーをひねり潰すということだけだ。
これに対し、バルサも独自のフットボルにて反撃を仕掛ける。相手に先制された以上、それしか道はない。バルサ攻撃陣の中で、特に目立っていたのがメッシだった。果敢に局地戦を挑み、明らかにマドリー守備陣を苦しめていた。25分の、右サイドからデフェンサ二人の間をすり抜けてのパスは圧巻。しかしこの絶好機を、グジョンセンは決めることが出来ない。
さらにその3分後には、イニエスタの突破からメッシがフリーでシュートを放つも枠を捉えず。今回の敗北の大きな要因の一つ、それがゴール前での決定力のあるデランテーロの不在だった。マジックは相手ゴールを揺らさなければ完全ではない。このいまひとつ至らない感が、現時点のバルサをよく表している。
前半のこの2つの決定機を逃したのが、バルサには痛かった。さらに後半、同点を目指して積極的に攻めに出ていたところで、またしても逆風が吹く。グティのパスを受けたロビーニョが素早いカウンターを仕掛け、最後は強引に突進したニステルローイがバルサ守備陣を蹴散らすかのようにゴール。試合を観るものはほぼ誰もが、「これで決着はついた」と直感しただろう。
そして実際、その通りにゲームは進んでいく。中盤を2枚にして前線を厚くするという奇策でリアクションを起こそうとするライカーだが、この試みは全く成果を現さず。気持ちばかりが逸るバルサを、メレンゲは中盤の圧力にて着実に潰していく。疲れはバルサに顕著に現れ、反撃も潰えていくのだった。パス展開で相手を疲弊させていた昨季のバルサとは、全く対照的。
こうして戦いは終わった。今のバルサに求められるものは、中盤の底でどっしりと支えられる守備的ピボッテと、ここという場面で決められるゴレアドールの存在。どうすればチームが機能するのか、これからの1週間、必死に見つけ出していくしかない。エラーを取り戻す機会は、まだまだある。 |