格下相手に、カーサできっちり勝利。調子は上向き。
ゲームの序盤、およそ15分間は(どちらかというと)レクレアティーボのペースだった。レクレは開始わずか40秒、決定的なチャンスを掴む。心身ともに万全ではないバルサから早い時間帯で先制点を奪おうと、彼らは積極的に前を狙ってくる。左サイドに空いたスペースに走りこんだロスから、中央で待つカージェに絶妙のクロスが送り込まれ、これをバルデスが右手一本!ギリギリのところで弾き返したのである。あわや0-1という場面、バルデスの好守によってピンチを脱するバルサ。
昨日のバルサは、前半の立ち上がりこそギアが入りきらないプレーを見せていたのだが、評価できる改善点は、チームとして基本に戻り、シンプルなボール回しを心がけていたところにある。上手くいかない時は、とかく個人技で局面を打開しようとしがちだが、レクレアティボ戦ではそういった場面は見られなかった。難しいドリブル突破ではなく、易しいパス展開。無駄なピンチを招かない点で、これは重要となる。
そんなわけで序盤は、ボールは支配しながらも最後のチャンスまでは至れない、という我慢の展開。レクレアティボは中盤・最終ラインで集中し、カウンターの機会を窺っていた。前半のバルサは攻撃の大半を右サイドから展開。ジュリの崩しからいい形は作りかけるのだが、グジョンセンとの連携にはもう少し時間がかかりそうな感じはする。チャビのカミソリスルーパスに反応しつつも、あと一歩という場面もあり、そこが合うようになれば、ゴール量産も夢ではないだろう。
惜しいチャンスを何度か逃していたグジョンセンだったが、先制点を“捻出”したのもまた彼だった。27分、シルビーニョのアーリークロスを、エリア内に侵入していたチャビが頭で落とす。そしてこのボールを受けようとしたグッディが倒されたとして、バルサはペナルティを頂だいするのだった。微妙な判定ではあったが、いいタイミングで走りこんだグジョンセンの勝利。
これをロナルディーニョが決めて先制点を手に入れたことが、バルサにとっては非常に大きな意味があった。それはゴール後の選手たちの動きを見れば、よく分かる。ポジショニングも、ボールキープも、動き出しも、バルサの選手たちは呪縛から解かれたように軽くなっていた。ゴールこそが最大の“栄養ドリンク”だというのが、あらためて実感された。
後半、バルサのパフォーマンスは全体的に向上することになるのだが、特に目立ってよくなっていたのは、ベレッティとシルビーニョの両ラテラルの攻め上がりだった。中でもロナルディーニョが安易にボールを失わなくなったことにより、シルビーニョが前線へ顔を出す機会が増加。サイドから崩していく、というバルサ本来の持ち味が発揮されていた。
56分、そして59分の追加点は、いずれも両ラテラルのクロスから。前者はシルビーニョが、後者はベレッティがいずれも超フリー状態でボールを供給し、それぞれをロナルディーニョとチャビが、これまたフリーのままヘッドで決めた。前節、マドリーに食らった失点を、そのままレクレにお返ししたというようなゴール。デフェンサをおびき寄せる、グジョンセンの動きも光っていた。
ロナルディーニョが、今度こそ復活の兆しとなりそうなプレーを見せてくれたのも、今後に期待が持てる。トリッキーかつ効果的なパス・ドリブルが甦りつつあり、ボールにプレスをかける姿も目立った。2ゴールを決め、ギガクラックは自信を取り戻した感がある。“リハビリ”として、この試合は十分に役立ったことだろう。交代時のファンの拍手も、彼の心にエネルギーを与えたに違いない。チェルシー戦で輝ければ、ほぼ完全復活といえるだろう。
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