チェルシー得意のハードな肉弾戦に、屈した引分け。
キックオフ直後の3分、デコのミドルシュートが決まったときには、この試合はバルサペースで展開し、いい具合に進められるように思えた。グラウンド中央付近で油断したブラルースからデコがボールを奪い、そのままドリブルで左サイドへ展開。そしてそのままエリア際へ切れ込み、ミドルシュートをファーポストに突き刺したのだ。
このゴールはチェルシーにとってはダメージは大きかっただろう。さらに9分、サンブロッタとのワンツーを絡めたメッシがエンドライン前まで侵入し、絶妙のセンタリング。しかしロナルディーニョのシュートは浮いてしまい、“トドメ”の一撃とはならなかった。また、21分にはドリブルで中央突破を仕掛けたチャビがロニーから文句のないスルーパスをもらうのだが、残念ながらこれも決められず。このどちらかが入っていれば、英国タックル集団の息の根も止まっていたはず。しかし青組はその後、徐々に息を吹き返し、粘っこいところを示し始める。
前半の後半にも、チェルシー反撃の予兆はあった。32分のエッシェンのヘディング、33分のコーナーからのロッベンのシュートはいずれもギリギリの枠内。これをバルデスの好守が救っていたのだ。
だが、ハーフタイム後のチェルシーの攻勢は強力だった。彼らはここぞとばかりに攻撃を仕掛け、52分にランパーのウソのようなシュートが決まるまで、次から次へとバルサゴールへ襲い掛かる。ロッベンの地面に叩きつけるヘディング、ランパーのスルーパスに飛び込んだロッベンのシュートはいずれも決定的。そしてマケレレ(あるいはエッシェン)の後方からの浮き球スルーパスに抜け出したランパーが、ゴールライン際からセンタリングのようなゴールを決めてしまうのだった。角度のまったくない、ウソでしょ?というようなゴール。
しかし、バルサの反撃も素早かった。その6分後、左サイドでロナルディーニョがブラルースをひょいとかわし、エリア内に切れ込んで鋭いグラウンダーのクロス。これをゴール正面で待ち受けたグジョンセンがネットに突き刺したのだ。これぞ王者のリアクション!カンプノウを包みかけた嫌なムードはこのゴールで好転し、そのままバルサペースで進むか、、、に思えた。
このゲームをダーティなものにしてしまったのは、それを仕掛けたチェルシーと、制御し切れなかった主審ステファノ・ファリーナが原因。前半から青組は積極的にハードなタックルによる肉弾戦をバルサに仕掛け、審判の誤解を生む行動(カードの対象が不明瞭)がピリピリした雰囲気に拍車をかけていく。バルサの側からすれば、ボールに関係しない悪質なファールも数回あり、まっとうな処分を受けていれば、との思いも強い。
さらにピッチ上での混乱の結末として、主審は6分ものロスタイムを宣言。93分にドログバのゴールが決まってしまったことにより、30近いファールを犯した“ロスタイムの張本人”が、その恩恵を最大に受けるという結果となった。主審は6枚ものカードをチェルシー側に示したが、それでもコントロールは出来ず。たしかにチェルシーは強かったが、後味の悪い強さだった。
バルサは必勝を期したカンプノウ決戦で、あまりにも痛恨のドロー。ポイントでブレーメンに抜かれたが、なにも失ったわけではない。残り2試合を連勝すれば、自力でグループA突破は可能。挫けることなく、次なる目標を目指して走っていくしかない。
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