デポルの激しいプレス、堅守を破るには、あと一歩足りない。
今季、リアソールでは4戦全勝という素晴らしい結果を残している“ベイビー・デポル”は、その自信をそのままに、組織立った守備とカウンターにてバルサと対峙する。彼らの守備への意識は非常に高く、中盤での積極的なプレス、そして2つのラインが整然と並ぶディフェンスによって、バルサに攻撃のオプションを与えない。2列目からの崩しというダイナミズムのないバルサの攻めは、ことごとくデポルの網にかかっていった。
バルサが初めてシュートを放ったのは、なんと39分を回ってのことだった。しかしこれが、価値あるペナルティへと結びつく幸運。イニエスタの浮き球スルーパスを、エリア内のデコが胸で落とし、走りこんできたサビオラが倒されてホイッスル。これをロナルディーニョが決めて、バルサは効率よく先制点を手にした。
絶え間ないプレスへの疲れとペナルティのダメージにより、前半終了間際のデポルの守備は、若干ながらペースダウン。そこで43分、メッシのスルーパスからフリーになったデコが巧みに対角線シュートを放つ。ダイレクトのいいシュートだったのだが、残念ながらボールはポストの左横をすり抜けていった。
決まっていれば大勢は決していただろうが、そうならないところが、バルサの現状を示唆している。
そして後半。ハーフタイム前の雰囲気からすれば、デポルの電池切れもあり得るかという予感もあったが、それは見事に外れる。充電がなくなり、消耗の度合いを強めていったのは、ミッドウィークにチェルシーと激戦を行ったバルサだった。デポルは逆に、フィジカルコンディションの良さを活かし、バルサを追い詰めていく。優勢にゲームを進めたのは、コルーニャの方だった。
この日の主審メディナ・カンタレホは、なにかとファールの笛を吹き、カードも大量に振りまいた。バルサはカウンターのたびにファールをとられ、フリーキックを与えるというような展開。ひとり気を吐くイニエスタのあわやペナルティか?というドリブル突破はあったものの、それ以外のチャンスはあまり作れない。
そして72分、元バルサのベルドゥが浮き球のワンツーにてエリア内に侵入し、堪りかねたエヂミルソンが背後から引っ掛けてペナルティ。キッカーであるエストジャノフのシュートはバルデスが弾くのだが、運悪くその前にはファン・ロドリゲスがいた。再びバルデスは気迫の右手にてこのシュートも弾くものの、残念ながら軌道を変えるのが精一杯。ボールは左ポスト内側に吸い込まれてしまった。
さらにデポルティーボは、この同点弾で勢いづき、カーサ5連勝を目指して圧力を強めてくる。だがこれにより、守備ラインにスペースも生まれ、バルサにはカウンターのチャンスが与えられることにもなった。終盤は、バルサとしては久々に目にする“撃ち合い”。両チームの情熱が感じられ、見応えはあったものの、最後の決めの精度に欠けて勝ち越しならず。試合はそのままエンパテに終わり、日曜の他会場の結果しだいでは、バルサの首位は陥落する。
イニエスタが攻守にわたって活躍したゲームではあったが、彼一人ではさすがに厳しい。ロナルディーニョは良いプレーとダメなプレーが混在。“良い”の数が増えてくるには、まだ時間はかかりそうだ。今週はもう一度、ミニ合宿の実戦を希望する。
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