それなりに序盤は苦戦したが、結果的にはゴレアーダ。
キックオフ直後の勢いは、マジョルカ側にあった。とりわけ危険な場面を作られたわけではなかったが、バルサの左サイドをヤンコビッチを中心に攻めたマジョルカが、(どちらかというと)主導権を握っていたといえる。攻守にわたって存在感を発揮していた、ヤンコビッチである。
バルサの最初のチャンスは19分、デコとロナルディーニョの大きな壁パスから、最後はデコ。しかしボールコントロールが上手くいかず、シュートにまでは至っていない。この時点で、バルサ、マジョルカ共にシュート数はゼロ。退屈なゲームではなかったが、最後の詰めを両者共に欠いていた。試合を通じての最初のシュートは34分、デコの右コーナーをモッタがフリーで強烈なヘッドを放った場面。入っていてもおかしくはなかったが、GKプラッツの好守で得点ならず。
そしてこのプレーあたりから、マジョルカにもエンジンがかかりだす。36分にはバシナスの惜しいロングシュートがあり、続く37分には右コーナーからアランゴのわずかにクロスバーを超えるシュート。前半のバルサは中盤でのプレスがいまひとつ効いておらず、最終ライン付近までの攻め上がりを許す原因となっていた。
今季リーガ最少失点を誇るマジョルカ(10試合5失点)は、その評判どおりの守りの堅さを見せ、バルサの攻撃を寸断していた。しかしバルサのパスワークを完全に抑えるのは至難の業だった。42分、モッタからロナルディーニョへとボールがわたり、クラックは相手守備陣を引き付けるだけ引き付け、右前のデコへ。そしてデコがワンタッチで前線のスペースへとボールを流し込み、走りこんだグジョンセンがプラッツをかわし、マジョルカゴールを陥落したのである。
後半もマジョルカは開始直後からプレスをかけてはくるが、パンチ力はいささか不足していた。バルサはそれをのらりくらりとかわし、チャンスを狙う。そして57分、イニエスタの驚異のロングスルーパスがエリア際中央左よりのグジョンセンへ。グッディは半身の体勢でこれを受け、ひらりと身を翻してシュート。プラッツ懸命のジャンプも及ばず、ボールはゴール右隅へと吸い込まれていった。おみごと!のプレー。
グジョンセンはこれで2得点。ここ数試合はいいリズムでプレーが出来ていたが、そろそろトップモードに入ってきつつあるようだ。先制点、決勝点という価値あるゴールを決め、試合前々日の会見での好調発言を裏付けた。どちらのゴールも技術の高さを証明するプレーであり、球際の強さも見せた。この調子でプレーできれば、デランテロ不安論は沈静していくだろう。アニモ、グッディ!
しかしマジョルカも、そのままでは終わらない。69分、いまひとつだったマクシ・ロペスに代わってプレーしていたビクトルが、執念のゴールを入れてみせるのだ。ヤンコビッチの浮き球スルーパスに抜け出し、エリア内に侵入すると、マークのマルケスを強引に振り切ってシュート。相当に強引だったが、ゴールは認められた。
これでマジョルカには希望が生まれた。けれども同時に、同点を目指して攻勢に出ることにより、守備ラインにはスペースも生じていた。さらに81分、交代枠を使い果たした後でのDFバレーラの退場により、バルサはグンと有利な状況となる。
まずは85分、センターライン付近のイニエスタから、チャビ、ロナルディーニョへとボールがつながる。この間に美白カンテラはするするとポジションを上げ、ロニーからの最終パスを受け取ってエリア内に突撃。そしてプラッツらを振り切り、3点目を流し込んだのだった。いい攻め上がりが生んだ、ダメ押し点。
さらにロスタイムに入った91分、またもカウンターからエスケーロ。チャビからのロングスルーが前線右へ上がっていたモッタへ、そして中央のロナルディーニョを経由して、エスケーロ。豪快にダイレクトでズドンとネットへ突き刺した。勝負はついていたとはいえ、リーガ初得点オメデトウ!
これでバルサは首位を堅持し、気分よくミッドウィークのレフスキ戦へと臨むことになった。グッディの"目覚め″により、ひとまずはデランテロ危機を乗り切るための試験は合格。一週間前の暗いムードは、おおかた払拭された。
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