いまいちピリッとしないながらも、ロニーのゴールとバルデスのパラドンで首位堅持。
ベルダー・ブレーメンとの激闘の余韻、そして明日向かう日本での世界一の夢。昨日のバルサには、試合に完全集中できないだけの十分すぎる理由が存在していました。ヨーロッパでの熱戦のあとは、大抵は気の抜けた試合になる。ましてやカンプノウでのゲームであり、相手が不調にあえぐソシエダとなれば、どうしても気合は入りません。
バスクの名門チームは今季、泥沼に浸っています。これまでの13試合で、勝利はいまだ訪れず、当然ながら降格圏内を漂っている状況。カンプノウのゲームでの最優先課題はエンパテで十分なので、あわよくばポイントを持ち帰ろうというものでしょう。ゆえにバルサがアクセルを踏み込まないのなら、彼らも無理はしません。狙いはスコアレスドローだったはずです。
そんな相手のペースに、バルサも多少の影響を受けます。全体のリズムは鈍く、ブレーメン戦のような輝きはありえない。しかし半分眠っていても、そこはバルサ。チャンスはそれなりに作れてしまうのです。まずは12分、エヂミルソンのパスに抜け出したロナルディーニョが、意表をつく緩いバセリーナ。しかしこれはGKブラボの懸命の守りにより、ゴールには至りません。
続く2つのプレーは、疑惑のジャッジ。19分にはラインを突破したグジョンセンのゴールがオフサイド。さらに22分、グッディのパスをロニーがシュート、GKが弾いたこぼれ球をチャビが詰め寄ってゴールするも、こちらもオフサイドの判定。いずれもかなり微妙な判定だっただけに、バルサ側に審判への不信感が生じたのは間違いないでしょう。
また、31分にはベレッティの高精度のクロスを、ファーサイドのロナルディーニョが豪快にチレーナ。これは惜しくも、ポスト右に外れてしまいました。
とにかく1点でも入っていれば、ソシエダにはそれを跳ね返すだけの力はない。それが明らかだっただけに、このいずれかが入っていれば、試合はそこで決まっていたでしょう。けれども余裕のなせる業か、さほどそれに執心したわけでもないバルサがソシエダにパンチを食らわしたのは、60分になってからのことでした。美しく3つのパスがつながり、ジュリのセンタリングをロナルディーニョがズドン。これでバルサの負けは事実上、決まりました。
しかし審判の判定によって、試合は変わるもの。シルビーニョへのあまりにも容赦ない連続カードによってバルサが10人になると、ソシエダが引き分けへの光明を見出し、最後の抵抗を見せるのです。
バルデスにこの日最初の"仕事"をする機会が訪れたのは85分、コバセビッチの至近距離からのシュートという場面でした。このようなゲームではポルテーロが集中を保つのが難しいのですが、バルデスは決して寝ぼけたりはしなかった。94分のゴール左角への横っ飛びセーブも含め、彼のパラドンがバルサをエンパテの危機から救ったのです。「自分は仕事をやっただけ」と語るバルデス。頼れる男になりました。
他会場ではセビージャがメレンゲを2-1で葬ったことにより、バルサと白組の差はふたたび4に。内容はともあれ、これで気持ちよく日本への旅につくことができるバルサです。
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