バルサが桁の違いを見せ付けての、まさに圧勝。
降りしきる雨の中、時差によるコンディション不足が懸念されたバルサが、自力の差を証明した。ポイントは幾つかあるが、まずはバルサの選手たちが決して集中力を失わず、90分間全力でプレーを通したことが挙げられる。開始直後はまだ動きに硬さの見られるバルサではあったが、5分のピオホ・ロペスの守備ラインの裏を突いた単独突破を阻止したあとは、常に安定感のあるプレーを披露。攻守にわたり、アメリカを圧倒していく。事実上ゲームが決着した後も、手綱を緩めず攻め続けたところは高く評価できる。
プレーではやはりロナルディーニョやデコといったクラックたちの鮮やかなテクニックが強調されてはいるものの、それよりも重要となるのは、昨日のバルサが天才たちの一瞬のきらめきだけによって勝利したものではない、ということだ。チームとしていかにプレーし、勝利を手に入れるべきか。選手たちはそれを念頭に置き、持てる技術と集団としての連携を調和させていた。たしかにクラックたちの個々の局面でのプレーは決定的なものだったが、それを支えていたのはグループとしての質の高いプレー。しかもそれが最後まで続いたことに、喜びを感じずにはいられない。
ゴールへの流れもどれも美しく、マルケスのヘッドによる2点目以外は、すべてがオンプレーによるもの。デコ→ロニーのヒール→イニエスタ→グジョンセンと流れるようにパスを回した1点目、ジュリのシュートのこぼれ球をロナルディーニョが冷静に突き刺した3点目、そしてロナルディーニョの"溜め"をデコが豪快に突き刺した4点目。さらには終了間際のロニーの会場を沸かせたバセリーナも含め、すべてが見応えのあるゴールだった。
長旅と時差による疲れ、体調不良が懸念されていたにもかかわらず、寝不足で練習も存分には行えなかったにもかかわらず、ふたを開けてみればバルサのスペクタクルなゴールショー。むしろアメリカよりもコンディションが良かったのではないか、とすら思わせてくれた。これは言うまでもなく、スタッフを含めたチーム全体が、勝利を求めて最高の仕事をやってきたということ。次の日曜も、彼らは最高の仕事をやってのけてくれるだろう。
しかしクルブ・アメリカはいったいどうしたことか。1週間以上前に日本に来ていたとは思えないような、プレスの甘さ。絶対に勝ってみせるという気迫も感じられず、フィジカルでバルサを圧倒することもなく。バルサのプレーは確かに素晴らしかったが、アメリカの圧力のなさがそれを助けてくれていたのも間違いはない。
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