インテルナシオナルの、執念と戦略が見事にフィット。バルサはまたもや、手ぶらで日本を去ることになった。
この日のバルサには、準決勝のようなプレーの激しさが感じられなかった。最終ラインを押し上げ、中盤からのプレスでボールをコントロールしようとするが、インテルの攻撃陣が予想以上に前目のポジションを取ってきたため、そのチェックのためにモッタが引き気味になってしまうなど、中盤にスペースが生まれてしまう。
となると、中盤付近ではインテルのほうが数的に優位となる場面が多くなり、バルサは上手くゲームをコントロールできない。ザンブロッタが攻めあがっていたのに対し、左サイドのジオがまったく前線へ顔を出せなかったのは、そのあたりのフォローに追われていたためである。どことなく、のらりくらりとプレーを仕掛けてくるインテルのペースに、バルサははまった。なにかおかしいぞ、と誰もが感じていた。
序盤に怒涛の攻撃によって先制でもできていれば、シナリオは大きく変化していただろう。けれども"いつでもいける"という油断も多少はあったのか、バルサは相手のリズムに引きずり込まれていた。ライン間の連携も乏しく、有機的なポジション交換なども起こらない。局面を打開するにはクラックのタレントに頼らざるを得ず、攻撃は単発に終わっていた。
大一番でどうにかしてくれるのがクラックとはいえ、いつも才能だけで片がつくはずもない。ロナルディーニョは徹底的なマークに遭い、得意の魔術をかける余裕なし。ならばサイド攻撃、あるいは2列目からの飛び出しでオプションを増やすしかないのだが、そういった動きも見られない。けれどもインテルナシオナルはエリア前にしっかりとした2本の守備ラインを敷き、バルサのアイディアに乏しい攻撃は、次々に摘み取られていくのだった。もしエトーがピッチにいたとしても、前線に孤立していては活躍は怪しかっただろう。
後半に入ってもこういった傾向は続き、チームとしての連動性を見せられないまま、時間が過ぎていく。インテルは時折見せるカウンターにより、"隙があればいただく"という気配を漂わせていた。プジョルとマルケスの頑張りによって事なきを得ていたが、嫌な空気は確実に時間が経過するにつれ増していた。
そして82分、ついにその時は訪れる。この日のMVPといって間違いはないイアルレイの切れ味鋭いドリブル突破によってエリア内に侵入され、途中出場したばかりのアドリアーノがシュート。バルデスはどうにか手には当てはしたものの、ボールは枠の中へと転がり込んでいった。残り時間わずかで失点するという、バルサにとっては最悪のパターン。反撃するには、あまりに厳しかった。
ロスタイムも入れて残り10分余、バルサはチャビの飛び出しやロニーのフリーキックであわやという場面を演出するが、それまで。インテルはやはりイアルレイが憎たらしいばかりに上手に時間を消費し、試合終了のホイッスルは鳴った。14年前と同じく、バルサ、ブラジリアンに敗れる。この借りは、来年返さねばならない。。。欧州連覇、バルサに新たなるモチベーションが注入された。この敗北を教訓に、その目標が達成されることを切に願うばかりだ。
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