年内最終戦は、不完全燃焼(あるいはガス欠)のエンパテ。アトレティコはやはり、今回も天敵たりつづけた。
バルサはこの試合に、日本遠征の影響を色濃く受けて臨むことになった。ザンブロッタが負傷で、マルケス、エヂミルソン、ジオが体調不十分で召集からはずれ、いわばスクランブル。出場した選手たちのパフォーマンスも、後半になると明らかにリズムの低下が見られたからだ。
前半のバルサは、一気に勝負を決めてしまおうという気迫に満ちていた。フィジカルの不足はメンタルでと、アクセルを全開に、怒涛の攻撃を見せる。序盤のボールの支配率は80%に近く、アトレティコは完全に受身の状態。前半2分にはベレッティのロングボールをグジョンセンが落とし、走りこんだデコがシュート。7分には一連の攻防から、やはり走りこんだチャビのシュート。これが決まっていれば、まさに狙い通りだっただろう。
39分にはロニーのクロスにチャビのヘッド。グジョンセンが相手をひきつけ、空いたスペースに2列目からの選手が飛び込んでいくというのが、前半のバルサの攻撃パターンだった。今回は決まらなかったが、こういった攻めはどんどんと行っていって欲しい。怪我をようやく吹っ切った感のあるチャビの動きは、ここにきて従来のキレを取り戻している。
バルサの攻撃が報われたのは、40分。ゴール正面右からのフリーキックを、またもロナルディーニョが豪快に突き刺したのだ。ゴール左下への、対角線の鋭いシュート。GKレオ・フランコ、これには成す術なし。
アトレティコは前半、完全に守勢に回っていた。チャンスはカウンターで1回と、フリーキックで1回。バルサはいい時間帯で先制点を奪えたし、前半の様子を見るかぎりは、バルサ勝利の可能性は濃厚だと思われた。
けれども、アトレティコはバルサ守備陣の一瞬の隙を突く。59分、プジョルとチュラムとの間に生まれていたスペースに、ルクシンから絶妙なスルーパス。そしてそこに走りこむアグエロ。チュラムは懸命にアグエロを追うが間に合わず、バルデスの壁も陥落。わずか1つのチャンスをアトレティコは見逃さず、バルサは痛恨の同点弾を食らった。さらに悪かったのは、このチェイスによってチュラムが負傷交代となったことだ。
そして後半のバルサは、明らかにガス欠の様相を呈していた。前半の勢いは感じられず、アグエロのゴールを跳ね返すだけの余力がない。アトレティコは中盤の層を厚くして支配力を高めてきたが、それにバルサはどう対応することもできていなかった。選手交代で流れを変えようにも、その駒が足りないのだ。日本遠征の疲れ、過密スケジュールの疲れが色濃く出た後半。前半のうちに2点差を付けられなかったのが、バルサは痛かった。
というわけで試合は1-1のまま終了。歴史的2冠を達成した2006年は、なんとなく知りつぼみな雰囲気を残しつつ幕を下ろした。メンタル、フィジカル両面で相当にタフな状況の中で、天敵アトレティコに負けなかったこと。それをとりあえずは評価するべきかもしれない。アグエロ、新たなるバルサキラー誕生の不吉な予感。
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