ミラクル狙いのアラベスに、実力で完勝。
このバルサ戦を前に、政治的大混乱に陥っていたアラベス。強権会長ピテルマンに対する反対行動(観戦ボイコット)により、メンディソローサの観客席は、なんと6,027人という少なさ。しかもその大半が、ピテルマンへ異議を唱えに来た人たちという悲しい事実。バルサは大抵、どこのスタジアムでも"アンチ"を含め、大入りのスタンドを前にプレーする。バルサ戦でガラガラというのは、珍しい光景だ。この試合を楽しみにしていたアラベスファンは、お気の毒。
アラベスの狙いは、ゴール前で引いて守っての、一発カウンター。あわよくば1-0で、せめて0-0で乗り切ろうという作戦である。エリア前に2列の守備陣系をしき、積極的な攻撃は仕掛けない。当然ゴール前は密集するので、バルサは横パスを回してスペースを探っていくことになる。ただし相手がプレスを仕掛けてこなかったので、展開は楽に行えた。
バルサの主な攻撃パターンは、ヘタフェ戦と同じく、守備ラインからのロングボール。そして右サイドのジュリだった。エスケーロは今度こそと精力的に動き、ロングボールを活用していたのだが、ゴール運には恵まれず。同じく、ほぼ好きなように右サイドで暴れていたジュリにも運がなく、得点にはいたっていない。パスの展開にもっとスピードがあれば、さらに楽に勝負を決められただろうが、その点ではまだレベルには達していない年明けバルサだ。
この試合の一番のニュースは、チャンスを得たサビオラが、それを活かせたということ。常に攻撃の中心として動き回り、守備ラインの裏を取ろうとしていたコネッホ。ポストとしても機能し、MVPの活躍を見せる。その褒美が、2つのゴール。57分にはジュリとのワンツーにより、エリア内から右足の強烈なシュート。80分にはチャビの右コーナーをマルケスが頭でそらしたボールを、同じくヘッドで押し込んだ。
零封こそが望みの綱だったアラベスにとって、バルサに先制点を奪われたことは勝負がついたことを意味する。同点に追いつける可能性はないに等しく、観客席の関心はそれ以降、ピテルマンへの抗議行動へとシフトしていくことになった。パルコに向け、投げつけられるブーイングの雨。
というわけで、バルサはエネルギーを浪費することなく、アラベスを下した。来週のカンプノウでの第2戦は、いわゆる消化試合となる。
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