あらゆる点で、エスパニョールが上回ったデルビー。
結果を見れば一目瞭然、バルサの完敗。前節、カーサで敗れて後がないエスパニョールが、プレーへの熱さ、自信などすべての面でバルサを凌駕していた。バルサ側が勝っていたポイントを見つけ出すのは、そう簡単ではない。少なくとも、グループとしては完全に負けていた。
前半のいくらかの時間帯は、バルサにもやや流れがきているときもあった。しかし決定的といえるチャンスは一つとして作れず。唯一の可能性は、ロナルディーニョのフリーキックくらいだった。10分、惜しくもロニーのシュートはクロスバー直撃。
ペリコたちは、自分たちの長所をよく分かっていた。どうすればチャンスが作れるのかを、よく自覚していた。彼らの攻撃の中心線は、デラ・ペーニャとタムード。"リトルブッダ"から右へ左へ中央へと効果的なパスが散らされ、右のルフェテ、左のリエラが簡単にサイドをえぐる。そして中央のタムードが最後の仕事をする。バルサはどうもチェックが甘く、彼らのプレーを止められない。特に両サイドは、やられ放題だった。
先制点もサイドの崩しから。バルサの左サイドをタムードに深くえぐられ、折り返したところをルイス・ガルシアが軽くファーへ流し込んでのゴール。プジョルが抜かれ、エヂミルソンのマークも及ばず。さらには41分にも同じようにタムードにセンタリングを入れられるなど、守備がとにかく緩かった。バルサは前半ロスタイム、ともにエヂミルソンが絡んでの惜しいシーンはあったが、最後の詰めが甘し。
そして後半、バルサのパフォーマンスはさらに低下する。選手たちの動きはより鈍くなり、パスのミスが多くなり、チャンスは作れない、ピンチは増えるの悪循環。ヘタフェ戦のダメバルサがまたも、甦ってしまっていた。前半もそうだったが、流動的な動きがないため、パスが単調となり、相手は簡単に次を予測できる。どうしちゃったのよというくらい、運動量の少ないバルサ。
唯一の見せ場は60分、サビオラの同点弾。サビオラが相手デフェンサの壁を振り切り、エリア正面からのミドルシュートが、ゴール左端に突き刺さったのだ。しかしそれでもバルサは流れを取り戻すことができず、わずか5分後には追加点を奪われてしまう。
左サイドをセルヒオ・サンチェスに楽々と駆け上がられ、真ん中で待っていたタムードがウルトラ級にフリーのヘディングシュート。ノーマークでセンタリングを上げさせ、ノーマークでシュートをさせれば、ネットを揺らされても不思議はない。ライカーが思わずベンチを割ってしまったのも、気持ちは分かる。
バルサは同点にするため前に出ざるを得なくなり、オマケに守備も効いてないので、カウンターを食らえばピンチの連続。特に80分ごろのパンディアーニの2つのシュート(ミドルとヘッド)は、いずれも入っていておかしくなかった。パンディアーニにもう少し運があれば、という話。
しかし結局ロスタイム、カウンターからルフェテにとどめを刺されて全て終了。ロナルディーニョの復帰もチームにとっては特効薬とはならず、次以降に多くの課題を残しての敗戦となった。中盤での圧力の欠如、まずは第一にここを修正していかなければならない。
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