プレーに切れも輝きもなかったが、効率性の良さだけはあった。
先週の国王杯とリーガで、バルサは守備組織の問題を露呈していた。それはチームブロックとして機能していないことが問題ではあったのだが、この試合、ライカーは思い切ってメンバーを半分近く入れ替えてくる。特に守備ラインはバルデスとプジョルを残し、総取替えとなった。特に先発からザンブロッタを左で起用した点は新しい。
そして結論から言えば、この変更はひとまずは機能したといえる。久しぶりに、無失点でゲームを終えたからだ。しかしそれは最下位であるナスティックの破壊力不足によるところも多く、もうすっかり安心していいというわけでは決してない。バルサの特徴である、前線、中盤からの激しいプレスによる守備は、まだ姿を見せてないからだ。
デコが復帰はしたものの、病み上がりではそう多くを求めるわけにもいかない。事実、昨日の段階ではまだまだ控えめなプレーしか披露していないポルトガル人セントロカンピスタ。フィジカルの問題なのか、あるいはメンタルなのか、いまのバルサは完全にプレスをかける動きが鈍い。寄せが遅く、圧力は緩く、ボールをあまりにも失いすぎる。運動量が見るからに少ないのだ。バルサのフットボルが甦るには、まだ時間がかかりそうな気配である。
今回のバルサは、たしかに3-0というスコアで快勝したかに見える。けれども、それほどにいいプレーをしていたかといえば、答えはNO。珍しく効率よく得点を重ねてはいたが、チームとして見せ場を作ったのは数度だけ。あとはナスティックのもろさに助けられたといっていい。集団的に守備力の高いチームを対峙するなら、ゴールは割れているかどうか。状態の悪さは、スタンドの口笛に集約されている。
とはいえ、チャンスを活かすサビオラの能力は、賞賛に値する。17分、一応の連続攻撃から、ゴール正面よりウラゲールが果敢にシュート。しかしこれは思いっきり当たり損ない、逆にボールはGK正面のサビオラの元へ。コネッホはひらりと身を翻し、ネットを揺らして見せた。初めてのシュートチャンスに、得点する。フォームの良さは、まだ持続中。
後半、サビオラからグジョンセンに交代させたとき、観客たちはその判断に口笛で応えた。それだけコネッホは、ファンに支持されているという証。逆にグッディも、それには燃えたかもしれない。ピッチに出て3分後、右サイドからのロナルディーニョのクロスを、左ポスト前からヘッド。これは相手GKに阻まれるが、どたばたのこぼれ球をジュリが決めて2-0。ジュリはその直前にひとつ、決定機を逃していたので、その埋め合わせといったところ。
そして80分にも、もう一点。エリア正面右寄りからロナルディーニョがドリブルで突破をかける。これはGKにカットされるのだが、ボールはころころとイニエスタの前へ。美白セントロカンピスタは思い切りよくシュートを放ち、そのままゴール左隅へと突き刺さった。
というわけで、終わってみれば3-0。しかし前述したとおり、スコアから受ける印象を、プレーからは受けられなかった。ナスティックは最下位というのが納得できる守備力であり、だからこそ"半分バルサ"でも3点が獲れたというのが率直な感想。トップレベルのチームが相手では、まだ勝てそうな気がしない。コンディションのアップは必須課題であり、それなくしてタイトルはありえないだろう。それでも首位が取れたのは、ありがたい話だ。
最後に。ナスティックは"やはり最下位"とは書きはしたものの、彼らの戦う姿勢は賞賛すべきものであり、プレッシングやプレーへの姿勢などは最下位チームとは思えないものだった。ただ、攻撃と守備の最後の詰めが甘かった。好印象は与えたが、結果は彼らにとって厳しいものに。そのあたりが、チームポテンシャルの違い。
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