前半はグダグダ、後半は復活の兆し。
ナスティック戦、ラポルタが言うところの"成熟"は見せたものの、輝きはほとんどなかったバルサ。スタンドに鳴り響いた口笛へのリアクションが期待されたが、結論から言うと、それに応えるプレーがあったとはいえない。
前半のバルサは、とにかく酷かった。カンペオンとしてのあらゆるものが不足し、完全にベティスの勢いにやられる展開。テーマだった組織によるプレスも、トライアングルを作り出す動きも不足しており、横方向へのパスをつなげるのが精一杯。苦し紛れの縦パスは、ことごとくカットされていた。
前線へボールが渡ったとして、それは生きたものではないため、相手のマークは外せない。持ち味のダイレクトなパス交換は見る影もなく、先の読める攻撃しか出来ないバルサ。ベティスも攻撃に関しては似たようなもので、粗雑な打ち合いというような展開が続いた。
そんな36分、バルサにとっては暗雲立ち込める先制点を奪われる。左コーナー、セットプレー職人アスンソンのボールをファーサイドのナノが頭で折り返し、今度はニアにいたロベルトがヘディング。さすがのバルデスもこの揺さぶりには対応できず、しかもフリーで打たれればどうしようもない。嫌な時間帯に、まんまとセットプレーでリードを許した。
後半、ライカーの指示が上手く利いたのか、中盤でのボールが回りだす。デコの動きが活性化し、前半はストッパーになっていたロナルディーニョからも、いいパスが出るようになっていた。1対1では相手に勝てないということで、無理に仕掛けずにボールを捌くことを優先したのが功を奏した。ペースはバルサが握り、ベティスは守勢。前半にはまったくなかった、ゴールへの予感が漂いだしていた。
そして60分、デコの右コーナーを、ニアのマルケスがそらすようにヘディング。GKドブラスはボールに触れはしたのだが、シュートの勢いが勝っていた。そのままボールはネットに突き刺さり、30分を残して同点に追いつく。逆転勝利も可能、と思わせるゴールだった。
その直後、ライカーはこの日はボールに絡めなかったさビオラを下げて、グジョンセンを投入する決断をする。しかし残念ながら、グッディはコネッホの上(?)をいく出来の悪さ。ロニーとの関係性はよかったようで、パスはそれなりに出はするのだが、ボールコントロール、シュート、あらゆるプレーに精彩を欠いたアイスランド人。特に78分、イニエスタ→デコ→イニエスタ→ウラゲール→グジョンセンと続いた一連のバルサらしい崩しのフィニッシュを、決められなかったのはもったいない。
さらにバルサはチャビが入ることによってボールの周りがスムーズになっていくのだが、そこまでで精一杯。これといったチャンスは作り出せず、決定機でいうならば、最後のアスンソンの2つのセットプレーのほうが危険だった。劇的ゴールになっていてもおかしくないシュート2つ。エンパテで終えたのは、妥当だったというところか。
好材料を見つけ出すとすれば、後半のプレーには組織的な意図が見られたというところと、マルケスの復活。年明けには「どうした?」というエラーを連発していたが、昨日の彼には以前の安定感が戻っていた。しかも同点ゴールを生み出し、MVP級の働き。後半は、デコ、イニ、チャビのちびっこ三銃士の動きもまずまず。この後半を、次からの復活への狼煙だと信じたいところだ。
逆に心配なのは、いっこうにリズムが上がらないロナルディーニョ。頑張ろうとするのは窺えるものの、プレーがそれに伴わない。突っかけてボールを失い続け、マークをまったく外せないクラックの完全復活はいつになるのだろうか。今回のスランプは、かなり重傷のように見える。
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