エトーの復帰と、1ポイント。得たものはその程度だ。
いまのバルサに一番不足しているもの、それは自分たちへの自信だろう。特にそれが顕著となるのがフエラでのゲームで、バルサはもう実に2ヵ月半、カンプノウ以外での勝利から遠ざかってしまっている。勝利を積み重ねることで培われていく王者のメンタリティが、木枯らしにやられた草木のように萎れているような。強者のオーラというものが、どうも感じられない。
プレーはどことなく、不安げ。パスをしっかりとつないでゲームを作っていくというスタイルは今回のオサスナ戦でも見受けられず、相手の果敢なプレスの前に、とにかく前線への長いボールで回避しようとしている。縦への突破は必要ではあるものの、ロングボールを多用しても壁を崩せるものではない。中盤まではどうにかボールを回せても、肝心のデランテロに余裕がなく、詰めの部分が非常にイマイチ。R.E.M抜きでは、やはり厳しいのか。
前半は間違いなくオサスナのペースだった。暑苦しいプレッシングを仕掛け、前線のポスト魔人ミロセビッチが存在感を発揮しての攻め。シンプルながらも効果はあるこの戦術に、バルサ守備陣はいくどとなく脅かされていた。失点を防げたのは、カピタン・プジョルの気迫の守りによるところが大きい。対するバルサは苦し紛れのロングボールか、出し所の見つからない横パスかで、ゴールを予感させるプレーにはほとんど出会えない。サビオラとジュリが時に見せ場を作るも、それだけだった。
後半になると、オサスナにさすがに疲労の色も見え始め、バルサの勢いは相対的にアップする。ボール支配率に変化はなくとも、前半とは持ち方が良くなってきていた。流れが大きく変わったのは、抜群の制空力で空中戦にことごとく勝利していたミロセビッチがベンチに下がった70分頃。後方での脅威がなくなったことにより、バルサは安心して攻撃に集中できるようになっていた。
ただし、最大のチャンスは64分、相手のミスバックパスからもらったコーナーを、マルケスが頭でそらし、サビオラがシュートしたシーン。そのほかにもチャビやマルケスのロングシュート、コーナーキックなどチャンスがあり、押し込んではいたものの、崩しきってのシュートという場面には至れなかった。いまのバルサには、強引にでもエリアを突破し、スペースを生み出せる選手がいない。1対2とはいかずとも、1対1で勝利していかねば。
そしてライカーは最終段階でエトーを投入するものの、やはり調整の域は脱せず見せ場なし。MVPがプジョルというのでは、0-0も当然か。今日の収穫は、エトーがピッチに戻ってきたことと、一生懸命プレーしている姿勢。次週にはいよいよメッシが帰ってくるだろうし、ロニーも戻ってくるだろう。クラックたちの復帰によって状況が本当に好転することを、ただ切に願うだけだ。メレンゲがベルナベウで散り、セビージャもつまづいた。バルサはまたも、タイトル争いに一撃を加えるチャンスを逃し、みんなで仲良く助け合っている。
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