ここ3ヶ月フエラで勝ちのないバルサ、今回もその悪い流れを断ち切れなかった。
前後半を通じて、バルサのプレーが最悪だったというわけではない。しかし「こうだ!」とスタイルや信念で勝っているバレンシアが、バルサを各局面で少しずつリードしていた。バルサはボールを支配できるものの、それは相手がリアクションフットボルに徹していたことによるもの。深い位置でのボールコントロールは自由にさせてもらえず、チャンスらしいものはほとんど生み出してはいない。
得意のカウンターに狙いを定めるバレンシアは、前半早々に続けてチャンスを得る。まずは4分、右サイドを完全フリーで駆け上がるアングロからのクロスに、中央のビジャ。これはシュートが当たらなかったことで九死に一生を得たが、入っていておかしくはなかった。どこにいたのか分からないザンブロッタと、コースを取られたウラゲール。
さらに7分、ピッチ中央付近からのモリエンテスの絶妙のスルーパスに、またもビジャが抜け出してバルデスと1対1に。これはバルデスが身体を張って防ぎ、前半最大の急場をしのいだ。
ここからは、中盤の潰し合いによってお互い決定機を作るまでには至れない。バルサ最大のチャンスは31分、ロナルディーニョからチャビを経由し、右のイニエスタからのセンタリングをグジョンセンがシュートという場面。これはかなり決定的だったが、シュートはポスト右へ。これを決められないと、フエラでは苦しい。
後半、そろそろ本気で攻めにいきたいバルサは、ギアを若干アップしていく。しかし前がかりになることは、バレンシアがカウンターを狙いやすい状況でもある。中盤できっちりとチェックできていればいいのだが、後半のバルサはそこが上手くやれない。特にヒートアップしていたのか、デコの安易なパスがいくつも奪われ、さらに他選手の位置取りの悪さも手伝ってピンチを誘発。それではいけない。
失点は、続けざまに2つ。いつかのスタンフォード・ブリッジのゲームを思い出すような、"悪夢の数分間"をまたもバルサは許してしまうのだ。51分にはクリアボールを一気にビジャまで送られ、さらにはエヂミルソンのチェックが甘く、ずるずると簡単にエリア内まで侵入を許す。そして走りこんできたアングロに悠々とゴールを叩き込まれるという、呆然とするしかない失点だった。エヂさんはカードが気になって、強くいけなかったのか。
そしてその3分後、今度はザンブロッタがあまりにも簡単に背後を取られ、アングロがクロス。これはバルデスがカットするのだが、こぼれ球をデフェンサは誰もクリアできず、シルバに流し込まれてジ・エンド。こうまで相手に楽にチャンスを提供していては、やられるのも当然の結果。
この後、ライカーは局面打開のためにメッシを投入。そして61分にはそのメッシにアルベルダが背後からのタックルによって一発退場となり、なぜかそれをみて激高していたデコがアルベルダを突き飛ばし、仲良く退場。もっと冷静にならなければ。。。
もっとも、デコはそれまでのバレンシアのプレーに相当苛立っていたのだろう。バレンシアは試合を通じてハードなプレーを仕掛けてきており、バルサは常にきついタックルにさらされていた。しかし主審のイトゥアルデ・ゴンサレスはバレンシアのそのようなプレーを見逃し、助長させる。後半に試合が荒れ模様になったのは、審判に責任の一端がある。
しかし結局のところ、ゲームに負けたのはバルサが弱かったから。シュートを打たなければゴールが入るはずもなく、勝つどころか引き分けにも持ち込めるはずがない。全体として縦への意外性のある突破がほとんどなく、ポストとなるべきグジョンセンも、その役目を果たせず。背後へ抜けるプレーなら、サビオラで十分だった。明るいニュースといえば、途中出場のメッシが存在感を放っていたこと。水曜日のリバポー戦は、先発で間違いないだろう。
セビージャが今度こそ勝利したため、バルサとのポイント差はゼロに。メレンゲ、バレンシアとの差もそれぞれ4になり、またもやリーガは混戦の度合いを強めてきた。
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